相談者より
養育費について教えてください。
相手が転職して収入が不明になった場合、合意書にどんな文言を入れると安全ですか?
相手の収入が分からないときは、「現時点の金額」と「収入が変わったときの見直し条件」をセットで書くのが安全です。将来の転職・昇給・減給があった場合に、再計算や協議をする条項を必ず入れておきましょう。
収入が不明なまま金額だけ決めてしまうと、後から不公平になりやすいです。
養育費の合意書では、本来は相手の源泉徴収票や給与明細などを確認して、収入に応じた金額を決めるのが基本です。しかし、ちょうど転職時期で「今の収入がはっきりしない」「試用期間で変動するかもしれない」といった場合、次のような考え方で文言を入れておくと比較的安全です。
1. 現時点での暫定金額を明記する
– 「相手の現時点の申告収入」または「前職の収入」を参考に、ひとまず支払額を決める
– 文例イメージ:
「甲(支払う側)は、乙(受け取る側)に対し、養育費として、暫定的に月額○万円を、毎月○日限り乙の指定口座に振り込んで支払う。」
2. 転職・収入変動時の見直し条項を入れる
– 転職・昇給・減給・失業などがあった場合に、一定の条件で見直すことを明記する
– 文例イメージ:
「甲または乙の収入に大きな変動(おおむね年収が20%以上増減した場合、転職・失業した場合等)が生じたときは、甲乙は協議のうえ、養育費の額を見直すものとする。」
3. 情報開示のルールを決めておく
– 見直しの際に、相手が収入資料を出さないと話が進まないため、あらかじめ書いておく
– 文例イメージ:
「前項の協議を行うにあたり、甲および乙は、源泉徴収票、給与明細、課税証明書その他収入を確認できる資料を相手方に提示するものとする。」
4. 協議がまとまらないときの対応も記載する
– 話し合いが決裂した場合の「次の一手」を決めておくと、無駄な争いを減らせます
– 文例イメージ:
「前二項の協議において合意に至らない場合には、甲乙は家庭裁判所の手続を利用して、養育費の額を定めることができるものとする。」
5. 将来の見直し時期をあらかじめ決める方法もある
– 転職直後などで不透明な場合、「○年後に必ず見直す」としておく方法もあります
– 文例イメージ:
「本合意締結日から3年経過後は、子の年齢、教育費の状況、甲乙の収入その他の事情を考慮し、養育費の額について改めて協議するものとする。」
このように、「今の金額」だけで終わらせず、「収入がはっきりしたとき・変わったときにどうするか」まで文章にしておくことがポイントです。
文言があいまいだと、後から『そんな約束はしていない』と揉めやすくなります。
よくあるトラブルとしては、次のようなものがあります。
1. 「収入が変わったら見直す」とだけ書いていて基準が不明
– どの程度の変化で見直すのか決めていないと、
– 相手「少し下がっただけだから見直し不要」
– 自分「かなり下がった/上がったから変えてほしい」
と主張が食い違い、話し合いが長引きます。
– 「年収が○%以上増減した場合」「無職になった場合」など、目安を書いておくと争いを減らせます。
2. 収入資料を出してもらえない
– 合意書に「資料を見せる」と書いていないと、
– 相手が「プライバシーだから見せたくない」と拒否
– こちらは「本当に収入が下がったのか分からない」
という状態になりがちです。
– 情報開示の条項があれば、「合意書に書いてある」と言いやすくなります。
3. 「一度決めたら一生そのまま」と思い込んでしまう
– 合意書に見直しのことが書かれていないと、
– 受け取る側が「もう増額は絶対に無理」とあきらめてしまう
– 支払う側が「収入が激減しても減額を言い出せない」と抱え込む
というケースがあります。
– 実際には、事情が大きく変われば見直しを求められる可能性がありますが、合意書に一言入れておくと、より動きやすくなります。
4. 口約束だけで「あとで調整しよう」としてしまう
– 合意書には金額だけを書き、
– 「転職が落ち着いたら増やすから」
– 「ボーナスが出たら上乗せする」
などを口頭で約束してしまうと、後から証明できません。
– 実現が難しい約束は書かない、書くなら具体的な条件と方法まで入れることが大切です。
5. あまりに現実離れした金額で合意してしまう
– 収入が不明な状態で、相手の希望だけを聞いて高額に決めてしまうと、
– 支払う側がすぐに払えなくなり、未払いが増える
– 結局、再交渉や調停になり、子どもにも悪影響
となることがあります。
– 無理のない金額かどうか、相手の前職の収入や業種・転職先の状況など、分かる範囲で冷静に判断する必要があります。
相手の収入がはっきりしないときは、無理に完璧な金額を決めようとせず、「暫定+見直しのルール」を合意書に入れることを意識してください。
行動のステップとしては、
1. 分かる範囲の情報を集める
– 前職の収入、転職先の業種・雇用形態、だいたいの給与水準などを確認する
– 可能なら、相手に「内定通知」「雇用契約書」などの範囲で見せてもらう
2. 暫定金額と支払方法を決める
– しばらく続けられそうな現実的な金額にする
– 支払日・振込口座・振込手数料の負担者も明記する
3. 見直し条項・情報開示条項を必ず入れる
– 「収入が○%以上変わったとき」「転職・失業したとき」など、見直しのきっかけを決める
– 見直しの際に、源泉徴収票や給与明細などを見せることを書いておく
4. 話し合いがまとまらない場合の手段も書いておく
– 「まとまらないときは家庭裁判所の手続を利用する」など、次のステップを明記する
5. 文言に不安があれば、第三者のチェックを受ける
– 自治体の法律相談、法テラスなどの公的な相談窓口、無料相談会などを活用し、文言が極端に不利になっていないか確認してもらうと安心です。
養育費の合意書は、一度作ると長期間その内容に縛られます。相手の収入が不透明なときほど、「今だけでなく、将来の変化にどう対応するか」を文章にしておくことが、自分と子どもを守ることにつながります。
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