相談者より
養育費について教えてください。
相手の収入が急に下がったケースで、公正証書化するために必要なことは?
相手の収入が下がった場合でも、まずは新しい養育費の金額について話し合い、その内容を書面にまとめ、必要な収入資料をそろえたうえで公証役場に申し込みます。相手の「口約束」だけでは公正証書にはできないので、合意内容と証拠をきちんと準備することが重要です。
収入が変わったときに養育費を公正証書にするには、「合意内容」と「収入の裏付け」をそろえることがポイントです。
相手の収入が急に下がった場合、養育費の金額を見直すこと自体は可能ですが、公正証書にするには次のステップが必要です。
1. まずは新しい養育費の金額を話し合う
– いつから、いくらにするのか(毎月○万円、○年○月分から など)
– 支払い方法(振込先口座、支払日)
– ボーナス時の加算の有無
– 子どもの進学時の費用(高校・大学など)をどうするか
– 将来また収入が変わったときの見直し方法をどうするか
などを、できるだけ具体的に決めます。
2. 収入が下がったことを示す資料をそろえる
相手の「収入が減った」という主張だけではなく、次のような資料があると、公証人にも説明しやすくなります。
– 源泉徴収票
– 給与明細(数か月分)
– 退職証明書・解雇通知書
– 雇用契約書・業務委託契約書 など
3. 合意内容を文書にまとめる
公証役場で公正証書の原案を作ってもらえますが、事前にメモ程度でも内容を整理しておくとスムーズです。
– 当事者の氏名・住所・生年月日
– 子どもの氏名・生年月日
– 養育費の金額・支払開始時期・支払方法
– 支払いが滞ったときの扱い(期限の利益喪失条項などを入れることが多い)
– 将来の見直しに関する取り決め(必要に応じて)
4. 公証役場に事前相談・予約をする
公正証書は公証役場で作成します。
– 事前に電話やメールで「養育費の公正証書を作りたい」「相手の収入が下がったため金額を見直したい」と伝える
– 必要書類(身分証、印鑑、戸籍謄本や住民票、子どもの情報、収入資料など)を確認する
– 公証人に原案を作ってもらうか、自分たちで案を送るかを相談する
5. 当日、双方が公証役場で署名・押印する
– 原則として、支払う側・受け取る側の両方が出向き、内容を確認して署名・押印します
– 事情がある場合は代理人を立てる方法もありますが、委任状などが必要になります
6. 「強制執行認諾文言」を入れてもらう
養育費の公正証書には、支払いが止まったときに給料差押えなどができるよう、「支払いが滞った場合は強制執行を受けても異議はありません」という内容(強制執行認諾文言)を入れてもらうのが一般的です。
このように、収入が下がったケースでも、①新しい金額についての合意、②収入の変化を示す資料、③公証役場での手続き、の3点を押さえて準備することが、公正証書化のポイントになります。
収入が下がったからといって、一方的に養育費を減らしたり、口約束だけで済ませるのは危険です。
よくあるトラブルや注意点として、次のようなものがあります。
1. 一方的に支払いを減らされる
「給料が減ったから、今月から半分しか払わない」と一方的に減額されるケースがあります。公正証書や調停調書などで金額が決まっている場合、勝手に減らすことは原則認められません。話し合いで合意し、公正証書などにしておかないと、後から「そんな約束はしていない」と言われるリスクがあります。
2. 口約束やLINEだけで終わらせてしまう
LINEやメールで「じゃあ○万円に下げてもいい」と返事をしてしまい、そのまま公正証書を作らずに放置するケースもあります。この場合、将来トラブルになったときに、「一時的な話だった」「本気ではなかった」と言われることもあり、強制的な回収も難しくなります。
3. 「収入が下がった」が本当か分からない
相手が「収入が減った」と主張しても、実際には転職で一時的に減っただけ、残業を減らしているだけ、ボーナスが増えている、ということもあります。資料を見ずに大幅に減額してしまうと、子どもの生活にしわ寄せがいきます。源泉徴収票や給与明細など、客観的な資料を確認することが大切です。
4. 子どもの生活費を無視した金額にしてしまう
相手の収入だけを基準にして、子どもの生活に必要な費用(食費、学費、医療費など)を十分に考えないまま金額を決めてしまうと、後から生活が苦しくなり、再度の見直しを求めざるを得なくなります。家庭裁判所の「養育費算定表」なども参考にしながら、子どもの生活を守れる範囲で調整することが重要です。
5. 将来の見直しルールを決めておらず、また揉める
「今は収入が下がっているから少なめに」「そのうち戻るはず」とあいまいにしてしまうと、収入が戻ったときに再び揉める原因になります。公正証書の中に「収入が大きく増減した場合は、協議して見直す」などの条項を入れておくと、後々の話し合いの土台になります。
6. 公正証書にしていないため、滞納時に動けない
合意どおりの金額にしても、公正証書にしていないと、支払いが止まったときに給料差押えなどの強制的な手続きがすぐにはできません。改めて調停や裁判を起こす必要が出てくることもあり、時間も手間もかかります。
相手の収入が下がったときの養育費の見直しは、「子どもの生活を守ること」を一番に考えつつ、現実的な金額を探る作業になります。
行動のポイントは次のとおりです。
1. 感情的にならず、まずは事実確認
– 相手の収入がどの程度・どのくらいの期間下がっているのか、資料で確認する
– 一時的な減少なのか、長期的な減少なのかを見極める
2. 子どもの生活費をベースに金額を考える
– 家賃、食費、学費、習い事、医療費など、子どものために実際にかかっている費用を書き出す
– 家庭裁判所の「養育費算定表」なども参考にしながら、現実的なラインを探る
3. 話し合いの内容は必ずメモやメールで残す
– 電話や口頭だけで終わらせず、「今日の話し合いの内容」をメールやLINEで確認しておく
– 後で公証役場に内容を伝えるときの資料にもなります
4. 合意できたら、公証役場で公正証書にする
– 近くの公証役場に連絡し、「養育費の公正証書を作りたい」と相談する
– 必要書類や費用、手続きの流れを確認し、予約を取る
– 可能であれば、事前に合意内容を文書にして送っておくとスムーズです
5. 自分だけで判断が難しいときは、早めに第三者に相談
– 市区町村の法律相談、法テラス、家庭裁判所の家事相談窓口など、無料・低額の相談窓口もあります
– 「どのくらいの金額が妥当か」「公正証書の文言はどうすべきか」など、専門的な部分は一人で抱え込まず、早めに相談した方が安全です
収入が下がったからといって、養育費をあきらめる必要はありません。ただし、子どもの生活を守るためにも、安易に大幅減額を受け入れず、事実確認と書面化、公正証書化までを一つのセットとして進めることを意識してください。
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