この記事を読んで分かること
未成年の子供がいる夫婦が離婚をする時に必ず決めなければいけない親権、逆に言うと未成年の子供がいる夫婦は親権者をどちらにするか?を決めなければ離婚は出来ません。ここではこの親権について説明していきます。
まず親権とは、文字の通り親の権利・義務のことですが、未成年の子どもを看護・養育して、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務のことを言います。
この親権は法律上、「財産管理権」と「身上監護権」の2つに分かれています。
「子どもの財産を管理」して、「子どもの財産に関する法律行為ができる権利」のことです。
つまり親権者は、子どもの財産について、子どもの代理人として、保存、利用、改良、処分などの行為を行うことが出来ます。ただし、その子どもの債権が生ずべき場合は本人(子ども)の同意を得なければなりません。
また未成年者の子どもの契約を親権者は代理人として行うことも、未成年者の子どもの単独での契約を取り消すことも出来ます。あくまでその財産は子どもの財産ですので、親権者は子どものために適正にその財産を管理しなければいけません。
「子どもの保護」や「子どもの肉体的・精神的教育」を目的とする親権者の権利のことです。
「子どもが身分法上の行為を行うにあたっての親の同意・代理権」(民法第775条、787条、804条)です。
例えば、結婚や養子縁組のような、子どもの身分法上の行為を行う権利と考えてください。
「子どもの住む場所、居場所を指定する権利」(民法第821条)です。
「子どもに対して懲戒・しつけをする権利」(民法第822条)です。
「子どもが職業を営むにあたってその職業を許可する権利」(民法第823条など)です。
離婚にあたり親権者を決める方法は、離婚の仕方と非常に関係します。基本的には以下の流れで親権者が決まります。
まずは夫婦での話し合いで決めることが原則です。未成年者の子どもがいる場合に離婚する場合は、親権者をどちらか一方に定めなければいけません。また離婚届には親権者を記入する欄がありますが、親権者を記入しなければ離婚届を役所で受け取ってもらえません。
離婚する際の取り決めは夫婦さまざまで、財産分与や慰謝料などについては離婚の後に条件を決めることも可能ですが、この親権者だけは離婚する前に必ず決めなければいけません。
協議で親権者を決める場合、子どもへの影響を出来るだけ小さくするためにも、一時の感情に流されず、子どもに与える影響、将来を冷静によく考え、どちらが親権者に相応しいかを決めていくべきです。また1度決めた親権者を変更するのは相当に困難ですのでしっかり話し合いましょう。
話し合いで親権者が決まったら、離婚届の親権者の欄に親権者の記載をして提出する事で親権者が決まります。
それでも話し合いで話がまとまらなければ離婚調停で決めていく事になります。
親権者を決める話し合いで折り合いがつかない場合には、離婚調停(親権者の指定を求める調停)を家庭裁判所に申し立て、裁判所において調停委員と言う第三者が夫婦の間に入り、離婚についての話し合いで親権者を決めていくことになります。
郵便局やコンビニで買うことができます。申立書と一緒に家庭裁判所に提出する必要があります。
※離婚調停では、申立人のさまざまな状況によって調停の数(印紙代)が変わってきます。
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申請する家庭裁判所によって金額が多少変わります。また、家庭裁判所によって提出を求められる切手の種類が異なる場合があるので、あらかじめ裁判所に確認をしておいた方がよいでしょう。
本籍のある市区町村の役所で取得することができます。市区町村の役所に連絡して郵送で取得することも出来ます。
市区町村の役所で取得が出来ます。一部コンビニで取得することができる場合もあります。
弁護士を雇わない場合は必要ありません。
弁護士を雇うか検討されている場合は、まずは無料相談してみてください。
※離婚調停では、申立人のさまざまな状況によって調停の数(必要書類)が変わってきます。
裁判所(裁判官)は、両親の主張の整理や監護実態の把握を目的として、家庭裁判所調査官に調査を命じて、これらについて調査をさせることがほとんどです。調査ポイントは「子の監護状況」「子の意向調査」「親権者の適格性」の3つです。
家庭裁判所調査官によっては、子どもに家族についての絵を書かせたりするなど、子どもが父母と普段どのように関わり、どんな気持ちでいるかを調査します。
子供が小学校の高学年程度の年齢に達している場合には、直接的に両親、友人に調査することもあります。
子供が15才を超えてくると本人の意思を尊重する傾向が高くなります。
家庭裁判所調査官によっては、家庭訪問をし、親子・親族関係や子供の生活環境を調査します。
その際には、子供の生育環境や監護態勢等(子どもにとって幸せな環境か?)が調査されます。
家庭裁判所調査官によっては、さらに子どもの通っている保育園、小学校の先生などを訪問して生活環境等を調査することがあります。
家庭裁判所調査官は、両親との面談を通して監護能力の有無や子を監護養育していく意思等について調査します。
また、保育園等からの聞き取りなどをする家庭裁判所調査官もいます。
家庭裁判所調査官は、子供がこれまでどのように養育されてきたのか(監護養育)、父・母どちらが養育したか?等を調査します。
家庭裁判所調査官は、それぞれの親がどのような養育・監護計画・方針を持っているかを調査します。
また、それがいかに具体的で実現可能か?等について調査します。
家庭裁判所調査官は、親権者としての不適切だと思われる事象がなかったか?も調査します。
つまり、身上監護権を有する能力や適格が疑わせるよう事情も調査します。
子どもが幼いほど親権争いは母親が有利と言われています。ただし、あくまで養育能力で有利と言われていますので、母親だから必ずしも有利と言うわけではありません。以下ポイントから父親の方が適当と言う判断の可能性もあります。
当たり前のことですが、子どもへの愛情が深い方が親権者に相応しいと判断されます。ただし調停委員からは、あくまで客観的事実から判断されます。
例えば、子どものために自身の生活を子どもを優先して変更していることなどはアピールポイントになるでしょう。
また、これまで子どもと過ごした時間が長い方が子どもへの愛情が大きいと判断されやすいです。
ですので、今現在夫婦は別居しているが、自分が子どもと同居している場合は極めて有利になります。だからといって、別居状態で離婚の話し合いをしている際に、子どもを監護していない親が、無断で子どもを連れ去る行為をすることは、親権者の適格性を判断するうえでは大きなマイナスとなります。
また、不貞をしていたという事情については、子どもの親権決定おいてはそれほど重要ではなく、不貞をしたからといって親権者としてふさわしくないとの判断はされません。ただし、不貞行為によって子どもに大きく悪影響を与えたような事実がある場合は、もちろん考慮されることになります。
子どもを養育していくにあたり、子どもの学費や生活費など、必要な収入が定期的にあるか?と言うことも重要な基準のひとつです。
ただし、収入について親権者は相手から養育費をもらうことも可能なので、収入が少ないから親権者に不利と言うことではありません。
子どもが幼いほど、子どもと一緒に過ごせる時間が長い方が良いと判断される傾向にありますが、さらに、自分の家族や親族、保育所などへの送り迎を代わってやってくれる等、子どもの面倒を代わりに見てくれる人がいることも評価される傾向があります。
親権者が子育てを行う体力があるか、また心身ともに健康かということも親権者を決める上で重要な要素になります。
まず乳幼児に関しては、母性の存在が情緒的な成熟のために重要と判断される傾向にあります。
また、子どもの性別についても親権者としての判断材料となることがあります。
兄弟・姉妹がいる場合、基本的に兄弟・姉妹は離れ離れにならないように考慮されると言われています。
子ども自身の意見ももちろん重要になりますが、子どもの発達状況に応じて意見の重みは変化します。
ただし、15歳以上の子どもの親権を審判や訴訟で定める場合は、裁判所が子ども本人の陳述(意思)を聞く必要があります。そのため、15歳以上の子どもの親権者の決定には、子ども自身の意思がかなり重要となってきます。
離婚調停の中で、親権者について協議ができない場合は、家庭裁判所が、審判により親権者を指定することになります。(民法第819条5項)
離婚調停した場合、ほとんどの場合はここで親権が決まります。
これでも親権が取れなかった場合は、2週間以内に不服の申立てをすることで離婚訴訟をすることが出来ます。
離婚調停で定められた親権についても不服がある場合は、2週間以内に不服の申立てをすることで離婚訴訟をすることが出来ます。
離婚訴訟では、法律に則り親権者を定めることとなります。離婚の際の話し合いで親権に争いが生じ、どうしても話がまとまらない場合の最終手段といえます。
この際、親権が取れなかった場合は、せめて面会交流の権利は得ておきましょう。
未成年の子どもがいる夫婦が離婚するということは、必ず一方が親権を得て、一方は親権を得られない事になります。
離婚するにおいて、話し合い(協議離婚)、調停離婚、離婚審判、離婚訴訟で親権が獲得出来なかった場合でも、面会交流の取り決めをしておくことで、取り決めたルール内で子どもと会う権利を得ることが出来ます。
もし親権が獲得出来なかった場合も考え、事前に面会交流についても確認しておきましょう。
離婚して親権を持っていない方、もしくは別居中に子どもを養育・監護していない方の親が子どもと面会等を行うためのルールを決めることです。
昨今の育児への世間の意識、働き方改革などの影響で、父親が子どもへの養育が重視されるようになり、2011年に制定されました。
面会交流の取り決めは基本的に親同士が面会交流の日程・方法等を事前に取り決めて、約束した日に子どもと面会ができるというものです。
※面会交流についての詳細はこちら↓をご参照ください。
親権獲得、親権破棄、離婚などについてご不明点、具体的にすすめたいけど分からない方は、お気軽に無料相談をしてみてください。