相談者より
モラハラについて教えてください。
配偶者から毎日人格否定を受けているケースで、離婚理由として主張するために必要なことは?
毎日の人格否定は、内容や頻度がわかる証拠を集めておくことで、離婚理由として主張しやすくなります。日記・録音・LINEやメールなどを残し、「継続的な精神的虐待」であることを示すことが大切です。
人格否定の言動は、積み重なると「婚姻を継続しがたい重大な事由」として離婚理由になり得ます。
配偶者から「お前はダメだ」「生きている価値がない」など、人格そのものを否定する言葉を毎日のように浴びせられる状況は、いわゆるモラハラ(精神的虐待)にあたる可能性があります。
離婚を求める場合、裁判などの場では「本当にそのような言動があったのか」「どの程度ひどく、どれくらい続いていたのか」が重視されます。そのため、次のような点を意識して準備しておくことが重要です。
1. 言動の「具体的な内容」と「頻度」がわかる記録
– 日付入りの日記・メモ:
– いつ(年月日・時間帯)
– どこで
– どんな言葉を言われたか(できるだけそのままの表現)
– そのとき自分がどう感じたか、体調の変化(眠れない・食欲不振など)
を簡単に書き残しておく。
– LINE・メール・SNSのメッセージ:
– 暴言や人格否定が書かれているやりとりは削除せず、スクリーンショットやバックアップを取る。
– 録音・録画:
– 会話の中での暴言は、可能な範囲でスマホなどで録音しておく(違法な盗聴などは避け、自分が会話に参加している場面を録音する)。
2. 「継続性」と「生活への影響」がわかる資料
– どれくらいの期間続いているか:
– 数週間なのか、数か月・数年なのか、期間が長いほど「継続的な精神的虐待」として評価されやすくなります。
– 心身への影響:
– 不眠・食欲不振・うつ状態などがあれば、心療内科や精神科、かかりつけ医を受診し、診断書やカルテの記録を残しておくと、精神的苦痛の裏付けになります。
3. 周囲の第三者の証言になり得るもの
– 家族・友人・職場の同僚などに相談していた場合:
– 当時の相談内容がわかるメッセージやメール。
– 状況を見聞きしていた人がいれば、その人の証言が役立つこともあります。
4. 「単なる夫婦げんか」ではなく「一方的な人格否定」であることの整理
– お互いに言い合っている喧嘩ではなく、片方が一方的に相手をおとしめている状況であることを、記録の中でわかるようにしておくと、モラハラとして主張しやすくなります。
このような証拠や記録をもとに、「人格否定の言動が長期間続き、精神的に追い詰められ、婚姻生活を続けることが難しくなった」という流れを説明できるようにしておくことが、離婚理由として主張するうえで重要になります。
人格否定を受けていても、証拠や状況の整理が不十分だと、離婚理由として認められにくい場合があります。
よくあるつまずきとして、次のようなケースがあります。
1. 証拠がほとんど残っていない
– 「毎日言われているのに、録音もメッセージも残っていない」という場合、裁判などでは「言った・言わない」の争いになりやすく、主張が通りにくくなります。
– 特に、口頭での暴言だけで、日記も録音もないと、継続性や具体的な内容を示しにくくなります。
2. 夫婦げんかとの区別がつきにくいと判断される
– お互いに感情的になって言い合っているだけだと見なされると、「一方的な精神的虐待」とまでは評価されないことがあります。
– 相手からの一方的な人格否定なのか、自分も同じような暴言を返していたのか、状況を整理しておくことが大切です。
3. 一時的なトラブルと受け取られてしまう
– たとえば、数日〜数週間だけの出来事だと、「夫婦関係が破綻するほどのものではない」と判断されることもあります。
– いつから、どのくらいの頻度で続いているのかを、日記やメモで示せるようにしておく必要があります。
4. 外では「良い夫・妻」に見えるため、周囲に理解されにくい
– モラハラ加害者は、外では穏やかで評判が良いことも多く、周囲に相談しても「そんな人には見えない」と言われてしまうことがあります。
– そのためこそ、客観的な記録(メッセージ・録音・診断書など)が重要になります。
5. 安全面を考えずに証拠集めをしてしまう
– 録音やメモを見つけられて、さらに攻撃が激しくなったり、暴力に発展したりするおそれもあります。
– 自宅の端末ではなくクラウドに保存する、パスコードを設定するなど、自分の安全を最優先に考えながら記録を残す必要があります。
まずは、自分の身の安全と心身の健康を最優先に考えてください。そのうえで、離婚理由として主張できるように、次のように動くことが考えられます。
1. 今日からでも記録をつけ始める
– これまでの分も思い出せる範囲で構いませんが、「今日から先」の分は特に丁寧に記録しましょう。
– 日付入りの日記・メモ、LINEやメールの保存、可能な範囲での録音などを習慣にします。
2. 心身に不調があれば医療機関を受診する
– 不眠・食欲不振・気分の落ち込みなどがあれば、心療内科や精神科、かかりつけ医に相談し、必要に応じて診断書をもらうことも検討してください。
– 医師に「配偶者からの人格否定が続いている」ことを伝えると、事情を理解したうえで対応してもらいやすくなります。
3. 信頼できる第三者に状況を共有する
– 家族・友人・職場の上司など、信頼できる人に現状を話しておくと、いざというときの証言やサポートにつながります。
– 相談内容をメッセージでやりとりしておくと、その記録自体も後で役立つことがあります。
4. 公的な相談窓口を活用する
– 配偶者からの精神的虐待は、配偶者暴力相談支援センター、男女共同参画センター、市区町村の相談窓口、警察の相談窓口などで相談できます。
– 「離婚したいかどうかまだ決められない」という段階でも、今の状況がどの程度危険なのか、どんな支援があるのかを一緒に整理してもらえます。
5. 離婚を具体的に考え始めたら
– 証拠や記録を整理し、「いつ頃から」「どのような人格否定が」「どれくらいの頻度で」「自分にどんな影響が出ているか」を紙に書き出してみてください。
– そのうえで、法律相談窓口や自治体の無料相談など、身近な相談先を利用し、自分のケースでどのような主張が可能か、どんな進め方があるかを確認するとよいでしょう。
一人で抱え込むと、状況が長引きやすくなります。安全を確保しながら、記録を残し、公的な窓口や身近な人に早めに相談していくことが、離婚を含めた今後の選択肢を広げることにつながります。
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