相談者より
財産分与について教えてください。
相手名義の預貯金が多いとき、借金の扱いを確認するうえで注意すべき点は?
相手名義の預貯金が多くても、「いつ・何に使った借金か」で扱いが変わります。結婚生活のための借金か、相手だけのための借金かを、通帳・明細・契約書などで具体的に確認することが重要です。
財産分与では、預貯金と同じくらい「借金の中身」を丁寧に確認することが大切です。
財産分与では、原則として「夫婦が結婚後に協力して築いたプラスの財産」と「そのために負った借金(マイナスの財産)」をセットで考えます。相手名義の預貯金が多い場合でも、同時に大きな借金があると、実際に分けられる金額が大きく変わります。
ここで重要なのは、借金が「夫婦の生活や資産形成のためのものか」「相手だけの趣味・浪費・ギャンブルなどのためのものか」を見分けることです。
【一般に“夫婦の借金”と見られやすい例】
・住宅ローン(家族で住む家のため)
・車のローン(家族の生活に使っている車)
・子どもの教育費のための借入れ
・生活費が足りないときに補うためのカードローンなど
【原則として“相手個人の借金”と見られやすい例】
・ギャンブルや投機的な取引のための借金
・不倫相手との交際費・プレゼント代などの借金
・相手だけの高額な趣味・ブランド品購入のための借金
ただし、名義だけで自動的に決まるわけではなく、「何に使ったか」「夫婦の生活にどれだけ関係しているか」で判断されます。そのため、次のような資料をできるだけ集めておくことが大切です。
・預貯金の通帳・ネットバンキングの画面印刷
・クレジットカード明細、カードローン明細
・借入れ契約書、返済予定表
・住宅ローンや自動車ローンの契約書
・借金の使い道が分かる領収書やメール、メモなど
相手名義の預貯金が多い場合、「実は借金も多く、差し引くとほとんど残らない」という主張をされることがあります。そこで、借金の内容を一つひとつ確認し、「夫婦で負担すべきもの」と「相手個人で負担すべきもの」を分けて考えることが重要になります。
相手名義の預貯金が多いケースでは、借金を理由に分与額を減らそうとするトラブルが起きがちです。
よくあるのは、相手が「自分名義の預金は多いが、その分借金も多いから、財産分与はほとんどできない」と主張してくるパターンです。このとき、借金の中身を確認せずに合計額だけを信じてしまうと、本来負担しなくてよい相手個人の借金まで、事実上一緒にかぶってしまうおそれがあります。
【起こりがちなトラブル例】
・カードローンやキャッシングの借金を「生活費のため」と説明されるが、実際はギャンブルや飲み代に使われていた
・不倫相手との旅行代やプレゼント代の支払いを、家計のカードと混ぜて支払っており、どこまでが夫婦の支出か分からなくなっている
・相手が通帳や明細を見せてくれず、「借金が多い」の一点張りで、財産分与の話し合いが進まない
・住宅ローン付きの不動産があるのに、ローン残高を低く見せたり、逆に高く見せたりして、自分に有利な分け方を主張する
また、相手名義の預貯金が多い場合、そもそもそのお金が「本当に相手だけのものなのか」「実は夫婦の共有財産ではないか」という問題もあります。結婚後に貯めた預貯金は、名義がどちらであっても、原則として夫婦の共有財産と考えられます。
そのため、
・結婚前からあった預貯金かどうか
・結婚後にどのように増えていったのか
・相続や贈与で相手だけが受け取ったお金ではないか
といった点も、通帳の履歴などから確認しておく必要があります。
借金と預貯金の両方をセットで見ないと、「預金が多いから相手の取り分が多い」「借金が多いから財産分与は少なくてよい」といった一方的な主張に押し切られてしまうリスクがあります。
まずは、感情的な話し合いの前に「数字と証拠」をそろえることが大切です。相手名義の預貯金が多いときほど、次のようなステップで冷静に整理しましょう。
1. 手元にある資料をできるだけ集める
・自分名義の通帳・明細、給与明細、家計簿など
・共有口座や家計用クレジットカードの明細
・分かる範囲での相手名義の通帳コピーやスクリーンショット
・住宅ローン、自動車ローンなどの契約書や残高証明
2. 「いつ・何に使った借金か」をメモに整理する
・借入れ日、借入れ先、金額
・使い道(生活費、住宅、教育費、趣味、ギャンブルなど)
・夫婦の生活にどれくらい関係しているか
3. 相手と話すときは「感情」ではなく「事実ベース」で
・『この借金は何に使ったのか』『この預金はいつから貯めたのか』と、具体的な説明を求める
・説明と通帳・明細の内容が合っているかを確認する
4. 自分だけで判断しきれないときは、早めに第三者の意見を聞く
・無料相談や公的な相談窓口、法律やお金の相談窓口などを活用し、資料を見せて「どこが争点になりそうか」「何を確認しておくべきか」を整理してもらう
5. 証拠になりそうなものは、コピーや写真で必ず保管
・後から相手が通帳を隠したり、明細を破棄したりするケースもあるため、見られるうちに記録を残しておく
相手名義の預貯金が多いときほど、「名義だけで判断しない」「借金の中身を一つずつ確認する」ことが重要です。自分に不利な条件を飲んでしまわないよう、早めに情報を集め、第三者の目も入れながら、落ち着いて進めていきましょう。
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