相談者より
DVについて教えてください。
妊娠中に暴力を受けた場合、法的手続きに使える証拠は何ですか?
けがの写真・診断書・LINEやメールのやりとり・録音データ・周囲の証言・母子手帳の記録などが、DVの証拠として有力です。思い出せる範囲で「日時・場所・内容」をメモに残すことも重要です。
妊娠中の暴力は、母体とおなかの子ども両方への重大な危険として扱われます。
法的手続き(接近禁止の保護命令、刑事事件としての被害届、離婚・親権などの家庭裁判手続き)では、「暴力があったこと」「継続性や悪質さ」「妊娠中だったこと」を示す証拠が重視されます。主な証拠は次のとおりです。
1. 身体のけが・健康状態に関する証拠
– けがの写真:あざ・傷・腫れなどを、日付が分かる形で撮影(スマホの撮影日時も有効)。全体とアップの両方を残すと分かりやすいです。
– 診断書:病院・産婦人科で受診し、「いつ・どのようなけがか」「どの程度の治療が必要か」を書いてもらうと、裁判所や警察で強い証拠になります。
– 母子手帳・カルテ:妊娠週数、出血や腹痛、切迫流産などの記録があれば、「妊娠中に暴力があり、体調に影響が出た」ことの裏付けになります。
2. 暴力や脅しの様子が分かる証拠
– LINE・メール・SNSのメッセージ:暴言、謝罪、脅し、「殴って悪かった」など暴力を認める内容は特に重要です。スクリーンショットだけでなく、トーク履歴のバックアップもしておくと安心です。
– 録音・録画データ:暴力の音、怒鳴り声、脅し文句、暴力直後の会話など。スマホのボイスレコーダー機能でも構いません。危険を感じるときは、無理に録音しようとして自分の安全を損なわないようにしてください。
– メモ・日記:いつ・どこで・どんな暴力を受けたか、妊娠何週ごろか、目撃者がいたかなどを、できるだけ具体的に書き残しておくと、後から出来事を説明する際の補強になります。
3. 周囲の人の証言につながるもの
– 家族・友人・近所の人に相談した記録:相談した日時、内容をメモしておくと、その人が後に「当時こう聞いた」と証言しやすくなります。
– 保健師・助産師・相談窓口への相談記録:市区町村の相談窓口、母子保健センター、DV相談窓口などに相談した日時・内容も、継続的な被害の証拠として役立ちます。
4. 生活状況や経済的な支配の証拠
– 生活費を渡さない、通院を妨害される、仕事をやめさせられるなどの行為もDVの一種とされることがあります。その場合は、通帳の記録、給与明細、交通費の明細、仕事を辞めた経緯のメモなども証拠になり得ます。
これらを一つだけでなく、できる範囲で複数組み合わせて残しておくと、法的手続きで状況をより具体的に伝えやすくなります。
証拠集めに気を取られて、自分とおなかの子どもの安全が後回しにならないよう注意が必要です。
よくある注意点として、次のようなものがあります。
1. 危険な状況での録音・撮影
暴力の最中に、相手に気づかれるような形で録音・撮影しようとすると、逆上されて暴力が激しくなるおそれがあります。命や健康に危険を感じる場面では、証拠よりもまず避難や通報を優先してください。
2. スマホやSNSの履歴を勝手に消される
相手にスマホを見られて、LINEやメール、写真を削除されてしまうケースがあります。可能であれば、クラウドや外部ストレージにバックアップを取る、信頼できる人にデータを送って保管してもらうなど、二重に保存しておくと安心です。
3. 「妊娠中の暴力は家庭内のことだから」と我慢してしまう
妊娠中の暴力は、家庭内の問題にとどまらず、刑事事件(傷害・暴行など)として扱われる可能性があります。我慢しているうちにエスカレートし、流産・早産など重大な結果につながることもあります。
4. 病院で「転んだ」とだけ説明してしまう
本当は暴力によるけがなのに、恥ずかしさや恐怖から「転んだ」「自分でぶつけた」と説明してしまうと、後から診断書を証拠として使うときに不利になることがあります。可能な範囲で「パートナーから叩かれた」など、事実を伝えておくと、医師の記録もより正確になります。
5. 何も記録を残していない
暴力のショックで記録を残す余裕がないことも多いですが、時間がたつと記憶があいまいになり、法的手続きで説明しづらくなります。短いメモでも構わないので、「いつ・どこで・何をされたか」を残しておくことが大切です。
妊娠中に暴力を受けている場合は、証拠を集めることと同時に、「今すぐの安全確保」と「今後の生活の見通し」を考える必要があります。
まずは、自分とおなかの子どもの安全を最優先にしてください。危険を感じるときは、110番通報や、近くの人・実家・シェルターなど、すぐに避難できる場所を確保することが重要です。産婦人科やかかりつけ医に、暴力の事実と妊娠週数、体調の変化を伝え、必要な検査や治療を受けましょう。
そのうえで、落ち着けるタイミングで、写真撮影、メッセージの保存、メモ作成など、できる範囲の証拠を残しておくと、後で保護命令の申立てや離婚・親権の話し合いをする際に役立ちます。
今後どう動くべきか迷う場合は、自治体のDV相談窓口、女性相談窓口、配偶者暴力相談支援センター、警察の相談窓口、法テラスのような公的な機関など、信頼できる相談先に状況を話してみてください。妊娠中であることを伝えると、避難先や医療機関との連携なども含めて、より適した支援につながりやすくなります。
一人で抱え込まず、「暴力は許されないこと」「妊娠中の暴力は特に危険であること」を前提に、周囲の支援や公的な制度を活用しながら、安全と生活の再建に向けて少しずつ準備していきましょう。
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