結婚して15年目、40代前半の主婦です。夫と離婚の話し合いを進めているのですが、「財産分与」をどう考えればいいのか分からず、不安でいっぱいです。
現在、夫名義のマンション(住宅ローン残あり)と、夫名義の預金がそれなりにあります。私はパートで働いていますが、結婚してからは家事と育児が中心で、収入は夫の方が圧倒的に多い状況でした。
夫は「家も貯金も全部自分名義だから、財産分与の対象にはならない」と言い、私にはほとんど渡すつもりがないような言い方をします。私は、結婚してからずっと家事や子育てをしてきたので、夫が仕事に集中できたのも、ある程度は私の支えがあったからだと思っています。
離婚の話し合いを進める中で、財産分与についてネットで調べてみると、「名義に関係なく、夫婦で築いた財産は分ける」といった説明もあれば、「専業主婦だとあまりもらえない」といった意見もあり、何を信じていいのか分からなくなってしまいました。
また、結婚前から夫が持っていた貯金や、結婚後に夫が相続したお金もあるようですが、そういったものも財産分与の対象になるのか気になっています。夫は「全部自分のお金だ」と言うだけで、通帳も見せてくれません。
離婚の財産分与では、どこまでを対象にして、どのように分けるのが一般的なのか、私のように長年家事や育児をしてきた場合、どの程度の割合を主張できるのか、具体的なイメージを持ちたいです。
今後、どのような資料を集めて、どのように話し合いを進めていけばいいのか、財産分与の基本的な考え方と、現実的な進め方について教えていただけないでしょうか。
離婚の話し合いの中でも、特に「財産分与」は感情的になりやすく、相手との認識の違いが大きく出やすい部分です。ここでは、夫名義の家や預金があるケースを例に、財産分与の基本的な考え方と、実際にどのように進めていけばよいかを整理していきます。
まず押さえておきたいのは、「名義が誰か」よりも「いつ・どのように増えた財産か」が重要になるという点です。一般的に、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産は、名義が夫でも妻でも「共有財産」とみなされ、離婚時の財産分与の対象になります。
一方で、結婚前から夫が持っていた貯金や、不動産、結婚後に相続や贈与で個人的に取得した財産などは、「特有財産」とされ、原則として財産分与の対象外と考えられます。ただし、特有財産と共有財産が混ざってしまっている場合や、どこからどこまでが特有財産なのか分かりにくいケースもあり、個別の事情で判断が分かれることもあります。
また、専業主婦やパート勤務であっても、家事や育児を通じて家庭を支えてきたことは、財産形成への貢献として評価されるのが一般的です。離婚の財産分与では、夫婦の収入差だけでなく、家事労働や子育ての負担も含めて、夫婦の協力の結果として財産が増えたと考えられます。
次に、具体的にどの財産が財産分与の対象になりそうかを整理していきます。代表的なものとしては、預貯金、マンションや戸建てなどの不動産、生命保険の解約返戻金、株式や投資信託、退職金(支給時期や性質による)などが挙げられます。
現実的な第一歩としては、可能な範囲で以下のような資料を集めておくことが考えられます。
・銀行口座の通帳や残高明細(夫名義・妻名義ともに)
・住宅ローンの契約書、残高証明書、固定資産税の通知書
・生命保険や学資保険などの契約内容が分かる書類
・証券会社の取引報告書や残高報告書
・夫の勤務先からの源泉徴収票や退職金規程が分かる資料
もし夫が通帳や資料を見せてくれない場合でも、離婚調停や裁判の場では、一定の手続を通じて金融機関などから情報を取り寄せる方法が用意されていることがあります。現時点では、手元で把握できる範囲の情報を整理し、「どの時点で、どのくらいの財産がありそうか」を大まかにメモしておくと、後の話し合いや専門家への相談がスムーズになります。
財産分与の割合については、夫婦の事情によって異なりますが、婚姻期間が長く、双方が家庭を支えてきた場合には、2分の1ずつを目安とする考え方が広く用いられています。専業主婦やパート勤務であっても、長年家事や育児を担ってきた場合には、貢献度が低く評価されるとは限らず、実務上は「おおむね折半」とされるケースも少なくありません。
ただし、マンションのように住宅ローンが残っている不動産については、「現在の時価からローン残高を差し引いた純粋な価値」をどう分けるか、誰が住み続けるか、名義やローンをどうするかなど、複数の要素を一緒に考える必要があります。売却して現金化するのか、一方が住み続けて他方に持分相当額を支払うのかなど、選択肢ごとのメリット・デメリットを整理することが大切です。
話し合いが難航している場合や、相手が「全部自分のものだ」と主張して譲らない場合には、早めに弁護士などの専門家に相談することも検討できます。財産分与に詳しい専門家であれば、どこまでが共有財産として主張できそうか、どのような資料を集めるべきか、離婚協議・調停・裁判のどの段階でどう動くべきかについて、具体的なアドバイスを受けられます。
離婚の財産分与は、一度合意してしまうと後からやり直すのが難しい場面も多いため、感情だけで決めてしまわず、できるだけ客観的な資料とルールに基づいて進めていくことが重要です。
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