相談者より
親権について教えてください。
中学生の子どもが親権者を選びたがっていると感じたら、無断連れ去りに対応する際に確認すべきことは?
まず「本当に無断連れ去りにあたる状況か」と「子どもの意思・安全」がどうなっているかを落ち着いて確認することが重要です。感情的に動く前に、現状・証拠・学校や周囲の状況を整理しましょう。
無断連れ去りかどうかは、親同士の合意状況と子どもの意思・安全の3点で判断していきます。
中学生くらいの年齢になると、子ども自身が「どちらの親と暮らしたいか」をはっきり言うことが増えます。ただし、子どもがそう言っているからといって、一方の親がもう一方に無断で連れ出したり、会わせないようにすることは、トラブルや法的な問題につながることがあります。
無断連れ去りへの対応を考えるときは、次の点を順番に確認しましょう。
1. 現在の親権者・監護者の状況
– 離婚前か離婚後か(離婚前なら、原則として父母は共同で親権を持っています)
– 離婚後なら、どちらが親権者・監護者(実際に育てている親)になっているか
– 裁判所の調停・審判・判決などで「子どもと暮らす親」が決まっているかどうか
2. 「無断」かどうかの確認
– 事前に「この日からこちらで暮らす」などの話し合い・合意があったか
– LINE・メール・書面などで、面会や宿泊の約束内容がどうなっていたか
– 一時的な面会・お泊まりのはずが、約束と違う形で連れ帰られていないか
3. 子どもの意思とその背景
– 子どもが「どちらと暮らしたいか」を自分の言葉で話せているか
– どちらかの親から一方的な悪口を聞かされて、気持ちが偏っていないか
– 友人関係・学校・部活など、生活環境も含めて冷静に考えられているか
4. 子どもの安全・生活への影響
– 暴力・虐待・過度な叱責・ネグレクト(放置)がないか
– 学校に通えているか、生活リズムが大きく乱れていないか
– 健康状態や精神的な不安が強くなっていないか
5. 証拠・記録の整理
– 連れ去りと感じた日時・場所・状況をメモしておく
– 親同士のやり取り(LINE・メール・録音など)を保存しておく
– 学校や塾からの連絡内容、子どもの様子の変化を記録しておく
これらを整理したうえで、「本当に無断連れ去りにあたるのか」「子どもの意思と安全がどうなっているのか」を見極めることが、次の対応を考える土台になります。
感情的に動くと、子どもの気持ちや立場をさらに苦しくしてしまうおそれがあります。
よくあるトラブルとしては、次のようなケースがあります。
1. 子どもの「一時的な気持ち」だけで動いてしまう
– 口論の直後など、感情が高ぶっているときに「もう片方の親のところに行きたい」と言うことがあります。
– 一時的な不満や反抗期の感情なのに、そのまま住まいを変えてしまうと、学校や友人関係が途切れ、後から子どもが後悔することもあります。
2. 親同士が「取り合い」になり、子どもが板挟みになる
– 一方の親が無断で連れ去り、もう一方の親が警察や学校を巻き込んで強く取り返そうとすると、子どもは「自分のせいで大人が争っている」と感じてしまいます。
– 子どもが本音を言えなくなり、「どちらの親の味方をするか」を選ばされて、精神的に追い込まれることがあります。
3. 学校や周囲に事情を伝えないまま動いてしまう
– 転校手続きや住所変更を、もう一方の親に知らせずに進めてしまうと、「子どもの所在がわからない」と疑われ、トラブルが大きくなります。
– 学校側もどちらの親と連絡を取ればよいか分からず、対応に困ることがあります。
4. 安全確保が必要なのに、遠慮して何もしない
– 明らかな暴力や虐待があるのに、「子どもがあの親を選んだのだから」と何も動かないのも問題です。
– 危険がある場合は、子どもの安全を最優先に、行政窓口や警察、学校などに早めに相談する必要があります。
5. 一方的な「洗脳」に近い状況
– どちらかの親が、もう一方の親の悪口を繰り返し吹き込み、子どもが極端に一方を嫌うようになるケースもあります。
– このような場合、子どもの意思が本当に自由な判断なのか、慎重に見ていく必要があります。
対応を考えるときは、「子どもの安全」と「子どもの本当の気持ち」を中心に据えつつ、次のように動くとよいでしょう。
1. まず事実を整理する
– いつ、どのような経緯で、どちらの親のもとにいるのかを書き出す
– 親同士の合意内容や、これまでの話し合いの経過を確認する
– 子どもの学校・生活状況・健康状態を把握する
2. 子どもの話を落ち着いて聞く
– 「どちらの親の味方か」を問い詰めず、「どう感じているか」「何が不安か」を聞く
– 片方の親の悪口を言わせるのではなく、子どもの希望や心配事を丁寧に聞き取る
3. 一人で抱え込まず、第三者に相談する
– 学校の先生やスクールカウンセラー、教育相談窓口など、子どもの様子を見ている人に相談する
– 住んでいる地域の役所の子ども・家庭相談窓口、児童相談所などに状況を伝え、アドバイスを受ける
– 必要に応じて、法律の専門家や相談窓口で、親権や監護のルールについて説明を受ける
4. 話し合いの場を持つときのポイント
– 親同士だけで感情的にぶつからず、第三者(調停機関、相談窓口など)を間に入れることも検討する
– 子どもの前で激しい口論をしないようにし、子どもを巻き込まない
– 一時的な感情ではなく、子どもの生活全体(学校・友人・健康)を踏まえて話し合う
5. 危険がある場合は安全確保を最優先に
– 暴力や虐待の疑いがある場合は、児童相談所や警察、役所の窓口に早めに連絡する
– 連絡した内容や日時をメモに残しておく
中学生の子どもが親を選びたがっていると感じたときは、「無断連れ去りかどうか」だけでなく、「子どもの心と生活をどう守るか」を軸に、周囲の支援も受けながら冷静に対応していくことが大切です。
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