相談者より
親権について教えてください。
中学生の子どもが親権者を選びたがっているケースで、監護補助者を説明するために必要なことは?
監護補助者とは、親権者を決める裁判などで「子どもの生活面の世話や見守りを手伝う人」を家庭裁判所が付ける制度です。中学生の子がどちらの親と暮らしたいか悩んでいる場合、その希望を尊重しつつ、子どもの生活を安定させるための仕組みとして説明することが大切です。
監護補助者は、親権そのものを持つ人ではなく、子どもの生活を支える“サポート役”です。
離婚や別居で親権者を決めるとき、家庭裁判所は「子どもの利益(子どもにとって一番よいこと)」を最優先に考えます。中学生くらいになると、どちらの親と暮らしたいか、自分の意見をはっきり持つ子も多く、その気持ちは裁判所でも重視されます。
ただし、親同士が対立していたり、どちらの家で暮らすかで子どもの生活が不安定になりそうな場合、裁判所は「監護補助者」という人を選ぶことがあります。
監護補助者の主な役割は、
– 子どもの生活(学校・塾・習い事・健康など)が乱れないように見守る
– 親同士の対立で子どもが板挟みにならないように調整する
– 面会交流(会う・連絡を取る)などがスムーズに行われるように手伝う
– 必要に応じて、子どもの状況を裁判所に伝える
といった「日常生活のサポート」と「調整役」です。
親権者は、法律上の大きな決定(進学、医療、住む場所など)を最終的に決める立場ですが、監護補助者はそれを奪う存在ではありません。あくまで、親権者や同居している親の子育てを補い、子どもの生活が落ち着くように支える役割です。
中学生の子どもに説明するときは、
– 「どっちの親の味方」ではなく、「あなたの生活を守るための人」
– 「親を決める人」ではなく、「決まるまでの間、生活を一緒に考えてくれる人」
– 「ずっと一緒に暮らす人」ではなく、「必要な期間だけ関わる人」
というイメージで伝えると、子どもが不安を感じにくくなります。
また、監護補助者は、親族や第三者(親戚、里親経験者、福祉関係者など)が選ばれることもあれば、専門知識を持つ人が選ばれることもあります。誰がなるかは、家庭裁判所が子どもの状況を見て決めます。
監護補助者がつく場面では、親も子も誤解や期待のしすぎからトラブルになりがちです。
よくある誤解やトラブルとして、次のようなものがあります。
1. 「監護補助者=親権者を決める人」と思い込む
実際には、親権者を決めるのは家庭裁判所であり、監護補助者ではありません。監護補助者は、子どもの生活状況を整えたり、裁判所に情報を伝えたりする立場であって、「どちらの親にするか」を決める権限はありません。この点を親にも子どもにもきちんと伝えないと、「あの人に気に入られないと親権が取れない」「あの人が決めた」といった不信感につながります。
2. 親が「自分の味方」だと期待しすぎる
一方の親が、「監護補助者は自分の側についてくれる」と期待してしまうことがあります。しかし、監護補助者の立場はあくまで「子どものため」であり、どちらかの親の代理人ではありません。自分の主張を通すために監護補助者を利用しようとすると、かえって子どものストレスが増え、裁判所の心証も悪くなりかねません。
3. 子どもが「監護補助者に本音を言うと親に怒られる」と感じる
中学生くらいだと、どちらの親とも関係を壊したくない気持ちが強く、「本当はどちらと暮らしたいか」「何に困っているか」を言い出せないことがあります。監護補助者が、子どもに対して「あなたの話は、あなたの安全と生活を守るために使う」「何をどこまで誰に伝えるか、一緒に確認しながら進める」といった説明をしないと、子どもが心を閉ざしてしまうことがあります。
4. 監護補助者の役割があいまいなまま進んでしまう
親も子も、「この人は何をする人なのか」「どこまで頼っていいのか」が分からないまま関わりが始まると、連絡の頻度や内容をめぐって不満が出たり、逆に必要な情報が共有されなかったりします。最初の段階で、
– どんなことを手伝うのか
– どのくらいの頻度で連絡を取るのか
– 困ったときにどう連絡すればよいか
などを、できるだけ具体的に共有しておくことが重要です。
中学生の子どもが「自分で親権者を選びたい」と言っている場合、まずは子どもの気持ちを否定せず、「どうしてそう思うのか」「何が不安なのか」をゆっくり聞くことが出発点です。そのうえで、監護補助者について説明するときは、次のポイントを押さえるとよいでしょう。
1. 子ども向けにはシンプルに伝える
– 「親を決める人」ではなく、「あなたの生活を一緒に考えてくれる人」
– 「どっちかの親の味方」ではなく、「あなたの味方」
– 「ずっと関わる人」ではなく、「必要なあいだだけ関わる人」
といった表現で、難しい言葉を避けて説明します。
2. 親同士で監護補助者の位置づけを共有する
親のどちらかが、監護補助者を「自分の側につける道具」のように考えてしまうと、子どもが板挟みになります。監護補助者は、あくまで子どもの生活を安定させるための存在であることを、親同士で確認しておくことが大切です。
3. 不安や疑問は早めに相談する
監護補助者がつくかどうか、どんな人が選ばれるのか、どこまで関わるのかなど、不安や疑問があれば、家庭裁判所の窓口や、自治体の相談窓口、子ども家庭支援センター、法律相談窓口などで早めに相談しましょう。「こういう人を監護補助者にしてほしい」といった希望がある場合も、理由とともに丁寧に伝えることが大切です。
4. 子どもの意見表明の場を大切にする
中学生であれば、家庭裁判所で意見を聞かれることもあります。その際に、子どもが安心して本音を話せるよう、
– 「どちらを選んでも、あなたのせいにはしない」
– 「大人の事情は大人が引き受ける」
といったメッセージを親から伝えておくことが重要です。
親権や監護の問題は、感情的になりやすく、子どもにとっても大きなストレスになります。ひとりで抱え込まず、公的な相談窓口や専門的な相談機関を上手に利用しながら、「子どもにとって一番安心できる形は何か」を軸に動いていくことが大切です。
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