相談者より
養育費について教えてください。
大学進学を予定している場合、算定表だけでは決めにくい費用はどう扱う?
大学進学を見込むなら、算定表の金額とは別に「大学費用をどう負担するか」をあらかじめ話し合い、合意書に具体的に書いておくのが安心です。学費・入学金・受験料・下宿代などを項目ごとに分けて取り決めるとトラブルを減らせます。
養育費の算定表は、基本的な生活費を目安にするもので、大学進学の細かい費用まではカバーしきれていません。
養育費の算定表は、子どもが高校卒業くらいまでの「衣食住・教育の基本部分」を平均的に見積もったものです。そのため、大学進学に関する次のような費用は、算定表だけでは十分に反映されないことが多いです。
– 大学の入学金・授業料(私立・国公立で大きく差がある)
– 受験料・模試代・受験のための交通費・宿泊費
– 予備校・塾・通信教育などの費用
– 自宅外通学の場合の家賃・生活費・引っ越し費用
このため、子どもが大学進学を希望している、または進学の可能性が高い場合は、次のようなポイントを決めておくと安心です。
1. どこまでを「養育費」として含めるか
– 高校卒業までを算定表ベースの養育費とし、大学費用は別枠にする
– 大学卒業(22歳の年度末など)まで養育費を支払うかどうか
2. 大学費用の負担割合
– 入学金・授業料は原則として「父○割・母○割」と決める
– 受験料や模試代などは「実費の○割を後から精算」などと決める
3. 進学先の範囲や上限
– 「国公立大学を想定」「自宅から通える範囲」「私立文系まで」など、ある程度の目安を決めておく
– 年間の学費の上限額を決めておく方法もある
4. 実際に進学が決まったときの話し合い方法
– 進学先が決まった時点で、合格通知や学費案内を見ながら再度協議する
– その際の連絡方法(メール・書面など)も決めておく
これらを、離婚協議書や公正証書などの「書面」にしておくと、後々の「言った・言わない」のトラブルを防ぎやすくなります。
大学費用をあいまいにしたまま離婚すると、子どもが高校生・大学生になってから揉めるケースが多くあります。
よくあるトラブル例として、次のようなものがあります。
– 養育費は払われているが、大学の入学金や授業料について「そんな高い大学に行くとは聞いていない」「算定表の養育費に含まれているはずだ」と支払いを拒否される
– 受験料や模試代、予備校代などがかさみ、進学前から家計が苦しくなっても、元配偶者が「それはあなたの判断で払ったもの」として協力してくれない
– 自宅から通えず一人暮らしが必要になったが、家賃や生活費の負担をめぐって対立し、子どもが進学をあきらめざるを得なくなる
– 「大学卒業まで養育費を払う」と口頭では言っていたが、書面に残しておらず、高校卒業時に支払いを打ち切られてしまう
また、親の収入状況が変わったり、子どもの進学先が想定より高額になったりすると、当初の話し合いどおりにいかないこともあります。こうした場合、まったく取り決めがないと、改めて話し合いをしても感情的な対立になりやすく、子どもが板挟みになることも少なくありません。
大学進学を見込む場合は、「算定表の養育費だけで終わり」と考えず、将来の教育費についても早めに話し合っておくことが大切です。
行動のポイントは次のとおりです。
1. まずは自分の希望と現実的な予算を整理する
– 子どもにどの程度の進学の選択肢を与えたいか(国公立・私立・自宅通学か下宿かなど)
– 自分の収入・貯蓄でどこまで負担できるかを把握する
2. 相手と話し合うときの軸を決める
– 「大学費用は別枠で考える」「入学金・授業料は○対○で負担する」など、具体的な案を用意して話し合う
– 話し合いが難しい場合は、第三者がいる場(調停や相談機関など)を利用することも検討する
3. 決まった内容は必ず書面にする
– 離婚協議書や公正証書など、後から確認できる形で残す
– 「大学卒業まで」「22歳の年度末まで」など、期間も明確に書く
– 「実際の進学先が決まったときに再協議する」旨も入れておくと柔軟に対応しやすい
4. 不安があれば早めに相談する
– 金額の相場感や、どこまで取り決めておくべきか迷う場合は、法律相談窓口や公的な相談機関などでアドバイスを受ける
子どもの進路は一度きりです。後から慌てないよう、「算定表+大学費用の取り決め」という二本立てで考え、できるだけ具体的に書面で残しておくことを意識しましょう。
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