相談者より
養育費について教えてください。
自営業の相手から養育費を受け取りたいケースで、将来の学費負担を決めるために必要なことは?
自営業の場合は、相手の収入をできるだけ正確に把握したうえで、「いつ・どの学校段階の学費を・どの割合で負担するか」を文書で具体的に取り決めておくことが重要です。公正証書や調停調書など、将来のトラブルに備えた形で残しておきましょう。
自営業の相手と将来の学費負担を決めるときは、収入の確認と具体的な取り決めがポイントになります。
自営業の人は、会社員と違って収入が年ごとに大きく変動しやすく、源泉徴収票もないため、養育費や学費の話し合いがあいまいになりがちです。そのため、まずは「どれくらいの収入があるのか」をできる範囲で客観的に確認することが大切です。
具体的には、次のような資料を見せてもらうようにします。
・確定申告書(直近3年分が望ましい)
・青色申告決算書や収支内訳書
・売上帳、通帳の入出金記録など
これらをもとに、平均的な年収や、今後も続きそうな収入の水準を把握します。そのうえで、通常の養育費とは別に、将来の学費についても次のような点を話し合い、できれば一つの合意書にまとめます。
・対象とする学費の範囲:入学金、授業料、施設費、塾代、受験費用など、どこまで含めるか
・学校の種類:公立・私立、高校までか大学までか、専門学校はどうするか
・負担の割合:学費のうち何割をどちらが負担するか(例:学費の7割を相手が負担)
・支払い方法:毎月の養育費に上乗せするのか、入学時など節目ごとにまとめて支払うのか
・進学の条件:私立や留学など、学費が高額になる場合に再度話し合うのかどうか
こうした内容は、口約束ではなく、できるだけ法的な効力を持つ形で文書にしておくことが重要です。離婚時や別居時の取り決めであれば、公証役場で公正証書にしておく、家庭裁判所の調停で合意内容を調停調書にしてもらう、といった方法があります。
また、自営業の収入は景気や体調などで変わることも多いため、「大きく収入が増減したときは、養育費や学費負担について再度話し合う」といった見直しのルールも一緒に決めておくと、将来のトラブルを減らせます。
自営業ならではの収入の不透明さや、あいまいな約束がトラブルのもとになります。
よくあるトラブルとしては、次のようなものがあります。
・相手が「収入が少ない」と主張し、実際より低い金額でしか養育費・学費負担を認めない
・確定申告書などの資料を見せてもらえず、相手の言い分だけで金額を決めてしまう
・「大学に行くならそのとき考える」「私立は無理」など、あいまいな言葉だけで終わり、後で進学時に揉める
・口約束だけで「大学の学費は全部出す」と言われたが、いざ進学の段階になって支払いを拒否される
・相手の収入が増えているように見えるのに、昔決めた低い金額のまま見直しがされない
また、自営業の場合、経費を多く計上して手取りを実際より少なく見せているケースもあり、「確定申告書の数字だけでは生活ぶりと合わない」ということもあります。そのようなときは、通帳の動きや、生活水準(住まい、車など)も含めて総合的に判断する必要があります。
さらに、学費の範囲をはっきり決めていないと、「塾代や受験料は学費に含まれない」「浪人した年の予備校代は払わない」など、細かいところで争いになることもあります。できるだけ具体的に「何に対して、どのように負担するのか」を書面に落とし込んでおくことが重要です。
まずは、相手の収入状況をできる範囲で客観的に把握することから始めましょう。確定申告書や決算書などの資料を見せてもらえない場合は、その理由を確認し、それでも難しければ、第三者を交えた話し合い(調停など)も検討します。
次に、「養育費」と「将来の学費」を分けて考えず、セットで話し合うことがポイントです。子どもがどの程度の進学を希望しそうか、公立・私立の希望、塾や予備校の利用の可能性など、現時点で想定できる範囲で構いませんので、具体的なイメージを共有しておきましょう。
話し合いがまとまったら、必ず書面にし、可能であれば公正証書や調停調書など、将来の強制執行にも使える形にしておくと安心です。その際、「収入が大きく変わったときは、養育費・学費負担を見直す」「進学内容が大きく変わるときは事前に相談する」といった見直しルールも一緒に盛り込んでおくと、後々の柔軟な対応がしやすくなります。
自分だけで判断が難しい場合は、自治体の相談窓口、家庭裁判所の家事相談、法テラスなど、無料・低額で利用できる公的な相談先もあります。収入の確認方法や、合意書の作り方、調停の利用方法などについて、早めに情報を集めて動くことが、将来の学費トラブルを防ぐ一番の近道です。
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