相談者より
養育費について教えてください。
自営業の相手から養育費を受け取りたい場合、未払い分を回収するにはどうすればよいですか?
自営業の相手からの未払い養育費は、「公正証書や調停調書をもとに差押え」するのが基本です。書面がない場合は、まず金額をきちんと決める手続き(調停など)から始める必要があります。
自営業の場合でも、養育費の未払いはあきらめる必要はありません。
自営業の相手から未払い養育費を回収するには、まず「養育費の取り決めが書面化されているか」が重要なポイントになります。
1. すでに公正証書や調停調書がある場合
– 離婚時などに、公正証書(強制執行認諾文言付き)や家庭裁判所の調停・審判で養育費を決めている場合は、それが「強制執行のタイトル(根拠となる書類)」になります。
– 相手が支払わないときは、その書類を使って家庭裁判所に「履行勧告・履行命令」を申し立てたり、地方裁判所で「給料・売上金・預金などの差押え」を申し立てることができます。
2. 書面がない・口約束だけの場合
– 口約束やLINE・メールだけでは、強制的に差押えをすることは基本的にできません。
– その場合は、家庭裁判所に「養育費請求の調停」を申し立て、金額と支払方法を正式に決める必要があります。
– 調停で合意できなければ、裁判所が金額を決める審判になります。
3. 自営業ならではのポイント
– 自営業は会社員と違い、給料という形ではなく「売上」や「事業用口座」にお金が入っていることが多いです。
– 差押えの対象としては、
– 事業用・個人用の銀行口座
– 取引先からの売掛金(請求書を出している相手からの入金)
などが考えられます。
– 相手の口座や取引先がわからないと差押えが難しいため、過去の振込記録や請求書、名刺、SNSなどから情報を集めておくことが大切です。
4. 未払い分をさかのぼって請求できるか
– 原則として、養育費は「子どもが成人するまで」などの期間にわたり支払われるものですが、過去分をどこまで請求できるかは、取り決めの有無や内容によって変わります。
– すでに公正証書や調停調書がある場合は、その内容に従って未払い分をまとめて請求できます。
– 取り決めがなかった場合でも、話し合いや調停で「過去分も含めて支払う」内容にできることがありますが、必ず認められるとは限りません。
5. 手続きの大まかな流れ
– ステップ1:養育費の取り決め書類(公正証書・調停調書など)の有無を確認
– ステップ2:ある場合は、その写しを用意し、家庭裁判所や地方裁判所で手続き
– ステップ3:ない場合は、家庭裁判所に養育費の調停を申し立てる
– ステップ4:金額が決まったら、支払いが滞ったときに差押えなどを検討する
このように、「書面の有無」と「相手の財産情報」が、未払い養育費を回収できるかどうかのカギになります。
自営業の相手からの回収では、相手の収入が見えにくいことが大きなハードルになります。
自営業の相手から養育費を回収しようとすると、次のようなトラブルや注意点がよくあります。
1. 収入を低く申告される
– 相手が「収入が少ない」「赤字だ」と主張し、養育費の金額を低くしようとするケースがあります。
– 家庭裁判所の調停では、確定申告書、帳簿、通帳などを提出させて、実際の収入を確認してもらうことが重要です。
2. 口座や取引先がわからない
– 差押えをしたくても、どの銀行に口座があるか、どの取引先から入金があるかがわからないと、手続きが進みません。
– 過去に養育費や生活費が振り込まれていた口座、事業用の名刺やホームページ、SNS、請求書の控えなどから、できるだけ情報を集めておきましょう。
3. 現金商売で差押えが難しい
– 現金での売上が多い業種(飲食店、建設の一部、個人サービス業など)の場合、銀行口座にあまりお金を残していないこともあります。
– その場合でも、預金口座や取引先への売掛金、将来の入金予定など、差押えできるものがないかを広く検討する必要があります。
4. 取り決めがあいまいなまま時間が経つ
– 「そのうち払う」「仕事が落ち着いたら払う」と言われて、はっきりした金額や支払日を決めないまま数年経ってしまうと、過去分の請求が難しくなることがあります。
– 早めに調停などで正式な取り決めをしておくことが、将来のトラブル防止につながります。
5. 感情的なやりとりで話が進まない
– 養育費の話し合いが、過去の夫婦関係の不満のぶつけ合いになり、具体的な金額や支払方法の話が進まないことも多いです。
– 感情的なやりとりだけで終わらせず、「いつまでに、いくら、どの口座に振り込むか」を書面で残すことが重要です。
自営業の相手から未払い養育費を回収したい場合は、「書面を整えること」と「相手の財産情報を集めること」が第一歩です。
1. まず確認・準備すること
– 離婚時などに作った公正証書や調停調書がないか確認する
– あれば、そのコピーを取り寄せて保管しておく
– 過去の振込記録(通帳のコピー)、請求書、名刺、ホームページ、SNSなどから、相手の銀行口座や取引先の情報をメモしておく
2. 書面がない場合の動き方
– 養育費の取り決めが口約束だけなら、家庭裁判所に「養育費請求の調停」を申し立てることを検討する
– 調停では、相手の収入資料(確定申告書など)の提出を求めてもらい、妥当な金額を話し合う
3. 未払い分の回収を進めるとき
– 公正証書や調停調書がある場合は、家庭裁判所に履行勧告・履行命令を申し立てる方法がある
– それでも支払われないときは、地方裁判所で預金口座や売掛金などの差押えを検討する
4. 一人で抱え込まない
– 手続きや書類作成が不安な場合は、自治体の法律相談、女性相談窓口、ひとり親支援窓口など、無料または低料金の相談を活用するとよいでしょう。
– 相談の際には、公正証書や調停調書、通帳のコピー、相手の事業に関する資料などを持参すると、具体的なアドバイスを受けやすくなります。
「自営業だから取れない」とあきらめる前に、手続きの流れと必要な情報を整理し、使える制度や相談窓口を上手に活用していくことが大切です。
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