相談者より
相続について教えてください。
相続人以外が介護をしていた場合、特別寄与料を請求できますか?
相続人ではない親族でも、無償で介護などをして被相続人の財産維持に貢献していれば、「特別寄与料」を相続人に請求できる可能性があります。ただし、誰でも・いくらでも認められるわけではなく、要件や手続きがかなり細かく決まっています。
特別寄与料は、相続人ではない親族の「がんばり」をお金で評価するための制度です。
2019年の民法改正で、「特別寄与料」という仕組みができ、相続人ではない親族でも一定の条件を満たせば請求できるようになりました。
■誰が請求できる?
・相続人ではない親族(例:長男の妻、長女の夫、孫、甥・姪など)
・生前に、無償で、継続的に、被相続人(亡くなった人)の介護や事業手伝いなどをして、財産の維持・増加に貢献した人
■どんな行為が対象になる?
・自宅での長期間の介護、通院付き添い、入退院の手続き
・日常生活の世話(食事・入浴・排せつ介助、買い物、掃除など)
・被相続人の事業を無償で手伝い、利益に貢献した場合 など
「家族だから当然の手伝い」というレベルを超えて、専門職に頼めばお金がかかるような介護・看護・事業手伝いを、長期間・継続的に無償で行っていたかどうかがポイントになります。
■請求先と手続きの流れ
1. 被相続人が亡くなり、相続が発生
2. 特別寄与者(介護などをしていた親族)が、相続人に対して特別寄与料を請求
3. 相続人と話し合いで金額を決める
4. 話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所に「特別寄与料の審判」を申し立てる
■請求できる期限
・相続の開始および相続人を知った時から6か月以内
・または、相続開始から1年以内
どちらか早い方までに請求しないと、原則として特別寄与料を求めることができなくなります。
■金額はどう決まる?
・介護の期間、頻度、内容(どれだけ大変だったか)
・介護をしなければ本来かかったであろう費用(ヘルパー代・施設費など)
・被相続人の財産の額
・他の相続人の状況
などを総合的に見て、話し合いか家庭裁判所が金額を決めます。
■相続分との関係
・特別寄与料は「相続分」ではなく、「相続人に対する金銭請求権」です。
・相続人が遺産を分ける前に、まず特別寄与料を支払い、その残りを相続人で分けるイメージです。
特別寄与料は、介護をしたからといって必ず認められるわけではなく、証拠や手続きの期限にも注意が必要です。
■よくある勘違い・トラブル例
1. 「長年介護したのだから当然もらえる」と思い込んでしまう
・実際には、介護の内容・期間・頻度などが具体的に評価されます。
・「同居して家事を少し手伝っていた」程度では、特別寄与料としては認められにくいことがあります。
2. 相続人ではない人が、遺産から直接取り分を主張してしまう
・特別寄与料は「遺産の取り分」ではなく、「相続人に対する請求」です。
・遺産分割協議の場で、相続人と同じ立場で分け前を主張しても、法律上は相続人ではないため、話がこじれやすくなります。
3. 口約束だけで証拠がなく、相続人に否定される
・「そんなに介護していなかった」「施設に任せていたのでは」などと言われ、話し合いが平行線になるケースがあります。
・日記、介護の記録、通院の領収書、交通費の記録、メールやLINEのやりとりなど、介護の実態を示すものが重要になります。
4. 期限を過ぎてから請求しようとしてしまう
・相続開始や相続人を知ってから6か月を過ぎてしまい、家庭裁判所に申し立てできなくなるケースがあります。
・相続人との話し合いが長引いているうちに期限が過ぎることもあるため、早めの対応が必要です。
5. 他の相続人との感情的な対立
・「介護はみんなの責任だ」「お金目当てだ」といった感情論になり、話し合いが進まなくなることがあります。
・特別寄与料は法律で認められた正当な権利ですが、説明の仕方や話し合いの進め方を誤ると、親族関係が悪化しやすい点に注意が必要です。
特別寄与料を考えるときは、「早めに動くこと」と「証拠を残すこと」が重要です。
■今からできる準備
・介護の内容や時間をメモしておく(いつ・どこで・どのくらいの時間・何をしたか)
・通院の付き添い記録、交通費の領収書、病院や施設とのやりとりの書類を保管
・家族とのメールやLINEで、介護の分担や状況が分かるものを保存
■相続が始まったら
1. 相続人が誰かを確認する
2. 自分がどのような介護・手伝いをしてきたかを整理し、簡単な一覧表にまとめる
3. 相続人に対して、特別寄与料を請求したい意思を、できれば書面やメールなど記録が残る形で伝える
4. 話し合いが難しい、金額で折り合えない場合は、家庭裁判所での手続きも検討する
■相談するときのポイント
・相続や遺産分割、特別寄与料に詳しい窓口(法律相談窓口、自治体の無料相談、専門家への相談など)を利用する
・「いつからいつまで、どのような介護をしたか」「どのくらいの頻度か」「他に介護を手伝った人はいるか」などを整理してから相談すると、話がスムーズです。
感情的な対立を避けるためにも、「自分の貢献を正当に評価してほしい」というスタンスで、事実と記録に基づいて冷静に話し合いを進めることが大切です。
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