お悩み解決!無料相談ドットコム

離婚する前に決めておくべき財産分与の3種類と対象にならないものとは?

離婚の財産分与

この記事を読んで分かること



財産分与まるっと知っておくべき基礎知識

財産分与」という言葉は普段聞き慣れず、聞いた事があっても詳しく知らない方が多いかと思います。ですが離婚を検討している方には必ず知っておいて欲しい離婚に伴う財産分与についてご案内します。

離婚から2年の期間制限があります!

離婚の財産分与

まず、この記事のタイトルを「離婚する前に決めておくべき財産分与・・・」としましたが、財産分与には離婚から2年という請求期限があります

逆に言えば、離婚して2年以内であれば財産分与の請求はまだ出来ると言うことです。

ただし、離婚後に元夫・元妻と連絡が取れなくなる場合も多いですし、離婚の話し合いを切り出した時から離婚までの期間が長くなると、離婚相手側が財産の整理や処分をしてしまうこともあります。

これらのことから、極力早期に財産分与の取り決めをしておく方が良いことをまず知っておいてください。

裁判所HP「財産分与請求」


財産分与ってそもそも何?

財産分与とは、婚姻中の夫婦が協力して築いた財産を離婚する際に配分することです。

夫婦に何らかの共有財産(※1)がある場合には、離婚の際に必ず必要になるのが財産分与です。

この財産分与は、離婚の原因をつくった側からも請求する事が出来ます。

ただし、原因をつくった側は慰謝料請求される場合もあり、その場合は慰謝料的財産分与(※2)として財産分与に増減されます。

また財産分与の対象期間は婚姻中ですので、別居期間中に築いた財産については対象になりません。

財産分与の配分率は、基本的に夫婦の共有財産の半分とされています。

(※1)共有財産とは財産分与の対象になる財産のことをいいます。詳しくはこのページ内「財産分与の対象になる「共有財産」とは?」を参照ください。

(※2)慰謝料的財産分与について詳しくはこのページ内「3.慰謝料的財産分与」を参照ください。


財産分与3種類とは?

財産分与とは金銭がからむことです。ここでは精算する財産がどのような要素で構成されるかをみていきましょう。

財産分与は以下3種類の要素から決めていきます。

  • 1.清算的財産分与
  • 2.扶養的財産分与
  • 3.慰謝料的財産分与

財産分与=「1.清算的財産分与」+(ー)「2.扶養的財産分与」+(ー)「3.慰謝料的財産分与」

それぞれを詳しく見ていきましょう。


1.清算的財産分与

いわゆる皆さんが想像する財産分与がこの「精算的財産分与」になります。

結婚している間に夫婦が協力して築き上げた財産については、それぞれの貢献度に応じて公平に分配しましょうということです。

精算的財産分与は、夫婦が婚姻中に共同で築いた財産、つまり夫婦の共有財産を離婚の際、または離婚した後に精算することです。

この共有財産は夫・妻の名義にかかわらず、あくまで夫婦2人の婚姻中に築かれた財産が対象になります。

なので結婚前に築いた財産や、別居以降に築いた財産などは対象になりません。

また、それ以外にも、相続で得た財産などの特有財産(※3)については財産分与の対象になりません。

あと勘違いされている方が多いのが、離婚の理由をつくった方にもこの財産分与を請求する権利があると言うことです。

ですから「あなた(おまえ)のせいで離婚になったから財産分与はしない!」と言う事は通用しません。

具体的な共有財産についてはこのページ内「財産分与の対象になる「共有財産」とは?」でご案内しています。

(※3)特有財産について詳しくはこのページ内「財産分与の対象にならない「特有財産」とは?」を参照ください。


2.扶養的財産分与

扶養的財産分与は、離婚することで、夫婦の一方の生活が苦しくなる方へ援助することです。

例えば専業主婦・専業主夫、病気闘病中、高齢などの離婚した後に経済的に苦しい状況におかれる方が、離婚した後も経済的に自立出来るようになるまでの期間は最低限援助しましょうといったことです。

具体的には扶養(※4)するために、ある期間は一定の金額を定期的に支払うといったことが一般的です。

(※4)扶養とは、大きく「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」2種類あり、「税法上の扶養」は給与年収が103万円以下の場合入ることの出来る扶養、「社会保険上の扶養」は自分で保険料を払わなくても保険加入出来る仕組み(被扶養者として健康保険の扶養)のことをいいます。


3.慰謝料的財産分与

これまで説明してきた通り、「離婚の理由をつくった方にもこの財産分与を請求する権利がある」のですが、本来は個別に対応する慰謝料請求に関しても、財産分与と同時に精算しましょうということです。

本来は財産分与と慰謝料は別のものですので、財産分与請求と慰謝料請求それぞれ別にした場合はこの限りではありません。

例えば離婚の際に慰謝料請求だけし離婚したが、離婚して2年以内に財産分与請求をしたなどタイミングがズレた場合は別での請求となるからです。

金銭がからむことですので、財産分与に慰謝料請求も「入れている」か「入れていないか」はっきりさせておくことが大切です。

その点において、離婚する際にこの「慰謝料的財産分与」をした方がわかりやすいといえます。


財産分与の対象になる「共有財産」とは?

それでは財産分与の対象になる具体的なモノをみていきましょう。

1.不動産

ドラマの影響からか皆さんが最初にイメージする財産分与がこの不動産だと思います。

その通りなのですが、結婚した後(婚姻中)に購入した土地や家などの不動産が共有財産となります。

ですから、婚姻以前に購入していた不動産(土地や家)は共有財産に含まれません。

ですが婚姻以前に購入していても婚姻期間にローンで支払い続けている場合は、その期間について夫婦で築かれた財産であり共有財産です。

また婚姻中であっても、親族から相続した不動産については特有財産(※3)であり共有財産には含まれません。

さらに、不動産の購入に親族からの援助があった場合は、特有財産の派生となりますので、財産分与の対象にならないか、貢献度によって財産分与の割合が1/2より低くなることもあります。

(※3)特有財産について詳しくはこのページ内「財産分与の対象にならない「特有財産」とは?」を参照ください。

こっそり財産分与のために「不動産の無料査定」をしておきませんか?


2.現預金

婚姻中にできた預貯金については基本的に全て共有財産で財産分与の対象となります。

ですので口座名義が夫名であれ妻名であれ共有財産です。

また現預金以外でも株式・有価証券などももちろん財産分与の対象となりえます。

ただ夫婦がそれぞれいくら貯蓄してきているか分からない方も多いようです。

そもそも相手の年収を知らない夫婦も増えてきています。

離婚を協議する状況になったタイミングでこれらを把握するのは難しいのが現実ですので、離婚を切り出す前に調べておいた方が良いでしょう。

夫・妻の年収を知る方法はこちら↓の記事を参照ください。


「へそくり」も財産分与の対象です!

「へそくり」も基本的には婚姻中の生活費の中から発生するものなので、これも共有財産として財産分与の対象になります。

毎月の生活をうまくヤリクリして貯めたお金なので自分のものと思う方が多いので気をつけましょう。

ただし例外として、離婚相手側に浪費癖があって、これからの家族生活のために生活費を切りつめて貯蓄していたなどの理由がある場合は、相手に分割すべきへそくりは半分よりも少ない割合になる場合もあります。


3.現預金以外の価値があるもの(動産)

自動車やドラマのシーンであるような高価な壺(つぼ)、骨董品(こっとうひん)、絵画など値打ちのあるものから、ブランドバッグやアクセサリーなどです。

これらも婚姻期間中に取得したものであれば共有財産になります。

またそれほど高価では無くても、家具や家電製品など生活必需品なども対象となります。

ただしこれらも不動産と同じように親族からの相続、親族からの援助などがあると対象から外れる事があります。

こっそり財産分与のために「車の無料査定」をしておきませんか?


4.保険料

婚姻中に終身保険や子供の学資保険などに加入していた場合は、離婚にあたり解約した時の返戻金も共有財産として財産分与の対象となります。

解約せずに保険を一方が引き継ぐ場合は、返戻金に相当する額を相手方に支払う必要があります。

なお、不動産・動産などと同じように親族からの相続、親族からの援助などがあると対象から外れる事があります。


5.退職金

「熟年離婚」が増えたのも、この退職金が財産分与の対象になるといった知識を持つ方が増えたからかもしれません。

退職金についても婚姻中のお互いの協力・貢献が反映された金銭であることから共有財産とみなされ財産分与の対象になります。

ただ財産分与は原則1/2の分配となりますが、夫がもらった退職金の半額が離婚相手の分配されるわけではありません。

それはこれまで全てのポイントの婚姻期間中が関係し、勤続期間と婚姻期間との交わる期間が対象になるからです。

簡単な以下の例で見てみましょう。

  • 夫の勤続年数が40年
  • その中で婚姻期間が20年(勤続年数の半分)
  • 夫の勤続40年に対する退職金額が1,000万円

この場合、夫婦の共有財産とみなされるのは1,000万円×20年/40年(勤続年数の半分)の500万円です。

夫と妻の財産分与の割合を原則の1/2とした場合、妻は500万円の半分250万円となります。

ですから、退職金1,000万の配分は、夫750万、妻250万となります。

また、夫の退職まであと数年で退職金をもらうことが確実だという場合も多いかと思います。

この場合、離婚時にまだ退職金が支払われていなくても、将来退職金として得る金額の内、共有財産とみなされる範囲の金額を財産分与として請求することも可能な場合があります。


6.年金

年金については、平成16年6月の年金に関する法律の改正により、平成19年4月から年金分割制度が施行されました。

これにより年金分割は財産分与とは別の問題として扱うこととなりました。

年金分割制度は、婚姻期間中の「保険料納付記録」を配偶者間で分割する制度です。

これにより年金を受け取る時点では、「修正された保険料納付記録」に基づいて、それぞれに年金が支払われることになります。

ただし、年金については、それぞれが加入している年金制度によっても詳細が異なります。

加入している年金事務所に確認することであなたの年金について確認する事が出来ます。


7.負債(生活に関わる借金など)

忘れがちですが、負の財産(借金など)も財産分与を考える際に加味されるものです。

ですから、夫婦の共同生活を営むために生じた借金は、夫婦共同の債務として財産分与において考慮されるべきことになります。

共同生活を営むために生じた借金とは、婚姻中に借り入れた住宅ローンや子供の教育ローン、生活費や子供の養育費などのための借金のことです。

ただし、一方が自分のために借り入れた個人的な借金は、財産分与において考慮されないと考えられています。

例えばパチンコのために借入をした借金などは、財産分与においては考慮する必要はないことなります。


財産分与の対象にならない「特有財産」とは?

これまで出てきた財産分与の対象にならない特有財産をまとめてみましょう。

1.婚姻以前や別居以降の財産

これまで本記事を読んで分かるように、財産分与の対象のポイントは「婚姻期間中に築いた財産」でした。

ですので、婚姻以前や別居した後に築いた財産については財産分与の対象になりません。


2.親族から相続した財産

親族からの相続財産については、婚姻期間中であっても特有財産となり財産分与の対象になりません。

ただし、特有財産の価値の維持や増加に寄与していた場合は、寄与分を財産分与の対象と考えることができるのはこれまでの説明同様です。


3.負債(個人の趣味ギャンブルに関わる借金など)

共同生活を営むために生じた借金は負の財産として財産分与の対象になります。

しかし婚姻生活と関係の無い借金や一方個人の趣味やギャンブルのための借金は当人が負担すべき負債で財産分与の対象になりません。

特にギャンブルでの借金についての財産分与は相談が多く、一方趣味での借金については分かりにくいかもしれません。

例えば、夫婦の生活レベルとかけ離れた高級外車を夫がローンを組んで購入した場合、婚姻生活と関連性のない支出であり、婚姻生活の維持にほとんど寄与していないので考慮対象から除外するように主張する事が可能です。


財産分与離婚についてご不明点、具体的にすすめたいけど分からない方は、お気軽に専門家へ無料相談をしてみてください。