パートナーからお金を管理され、自由に使えない「経済的支配」は、モラハラの一種とされることがあります。この記事では、経済的支配を受けている場合にどんな準備事項があるか、法律の基本とあわせてやさしく解説します。
経済的支配を受けていると、「逃げたくても逃げられない」状態になりやすいため、早めの準備がとても大切です。
モラハラの中でも、生活費を渡さない、収入をすべて取り上げるといった経済的支配は、相手に逆らえない状況を生みやすいです。「離れたいけれど、お金がなくて無理」「子どもを養えるか不安」と感じ、我慢を続けてしまう方も多いです。法律上、婚姻費用(夫婦と子どもの生活費)や養育費を請求できる場合がありますが、そのためには証拠や情報の準備が重要になります。いざというときに動けるよう、経済的支配を受けている場合の準備事項を知っておくことが望ましいです。
まず、「経済的支配」とは何か、その基本的な意味を整理しておきます。
経済的支配とは、パートナーが一方的にお金を管理し、生活費を十分に渡さない、働くことを禁止する、勝手に借金をさせるなど、お金を通じて相手をコントロールする行為を指す言葉です。法律の条文にそのままの言葉があるわけではありませんが、民法上の「婚姻費用の分担義務」や「扶養義務」に反する状態として問題になることがあります。また、離婚や別居を考える際には、経済的支配の実態が、慰謝料請求や婚姻費用・養育費の金額を考えるうえで重要な事情となることがあります。
経済的支配やモラハラについては、誤解や思い込みから、行動をためらってしまう方も少なくありません。
「殴られていないからモラハラではない」「生活費は少ないけれど、なんとか暮らせているから問題ない」と考えてしまう方がいます。しかし、暴力(DV)がなくても、必要な生活費を渡さない、家計を一切教えない、働くことを禁止するなどは、経済的支配としてモラハラにあたる可能性があります。また、「証拠がないから何もできない」と思い込む方もいますが、家計簿や通帳のコピー、レシート、メモなど、身近なものも証拠になり得ます。完璧な証拠がなくても、少しずつ準備することで、後の手続きが進めやすくなることがあります。
経済的支配を受けている場合に備えて、どのような準備事項を進めていくか、その大まかな流れを確認しておきましょう。
まず、自分と相手の収入・支出・貯金・借金など、お金の状況をできる範囲で把握し、通帳や給与明細、クレジットカード明細などをコピー・写真で保存しておくとよいです。次に、生活費をどのくらい渡されているか、足りないために困ったことがあるかなどを、日記やメモの形で記録しておきます。そのうえで、信頼できる家族や友人、支援窓口に相談し、別居や離婚を視野に入れる場合は、一時的に住める場所や生活費の目途を考えます。必要に応じて、家庭裁判所で婚姻費用や養育費の請求をする準備を進める、といった流れがありますが、途中で法律の専門家に相談しながら進めることが望ましいです。
経済的支配から抜け出すための準備をする際には、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
通帳や明細のコピーを取るとき、相手に気づかれると、さらにモラハラや経済的支配が強まるおそれがあります。そのため、証拠集めは安全を最優先にし、職場や実家など、見つかりにくい場所に保管するといった工夫が必要です。また、急に別居や離婚を切り出すと、生活費を止められるリスクもあるため、可能であれば事前に一時的な生活費や住まいの目途を立てておくことが望ましいです。公的な支援制度(生活保護、一時保護施設など)や、モラハラ・DV相談窓口の情報も、早めに調べておくと安心につながります。
経済的支配を受けている場合に関する準備事項は、単にお金の問題にとどまらず、今後の生活や安全を守るための大切なステップです。収入や支出の証拠を集め、生活費の実態を記録し、信頼できる人や支援窓口に相談することで、婚姻費用や養育費の請求、別居・離婚といった選択肢を現実的に考えやすくなります。一人で抱え込むと、「自分が悪いのでは」と感じてしまいがちですが、法律の専門家に相談することで、経済的支配やモラハラの状況を客観的に整理し、取れる方法を一緒に検討してもらうことができます。無理のないペースで構いませんので、できる準備から少しずつ始めてみることが望ましいです。
無料相談フォームから、ご相談内容などの必要事項を登録ください。
お住まいエリアと相談内容に適した専門家から折返しご連絡します。
専門家とともに、あなたの悩みを一緒に解決していきましょう。