相談者より
養育費について教えてください。
相手が副業収入を隠している可能性がある場合、合意書にどんな文言を入れると安全ですか?
副業収入も含めた「すべての収入」を開示する義務と、虚偽があった場合に養育費を見直せることを、合意書にハッキリ書いておくのが安全です。さらに、一定期間ごとに源泉徴収票や確定申告書を提出する条項も入れておくと安心です。
副業収入を隠される不安がある場合は、「収入の定義」と「開示義務」「見直し条件」を合意書に明文化することが重要です。
養育費の合意書では、給与だけでなく副業・アルバイト・事業収入なども含めた「総収入」を対象にすることがポイントです。相手が副業収入を隠している可能性があるなら、次のような内容を盛り込むと、後から見直しや確認がしやすくなります。
【1】収入の範囲を広く定義する文言の例
「本合意における『収入』とは、勤務先からの給与、賞与、各種手当、残業代のほか、事業所得、アルバイト・パート収入、投資収入、その他名目を問わず継続的に得ている収入のすべてを含むものとする。」
【2】収入の開示義務を定める文言の例
「甲(養育費を支払う者)は、毎年○月末日までに、前年分の源泉徴収票、確定申告書の控え(第一表・第二表および収支内訳書等)、給与明細その他収入が分かる資料を乙(養育費を受け取る者)に提出し、自身の収入状況を誠実に開示するものとする。」
【3】収入に虚偽があった場合の取り扱い
「甲が収入の全部または一部を故意に開示せず、または虚偽の内容を告げていたことが判明した場合、乙は、本合意にかかわらず、過去にさかのぼって養育費の増額および不足分の支払いを求めることができるものとする。」
【4】収入変動時の見直し条項
「甲の年収(上記『収入』の定義による)が前年度と比べて○%以上増加した場合、または副業・事業収入が新たに発生した場合には、甲および乙は協議のうえ、養育費の額を見直すものとする。協議が整わないときは、家庭裁判所に養育費の変更を申し立てることができる。」
【5】資料提出方法とプライバシーへの配慮
「収入資料の提出は、写しの交付または閲覧の方法によるものとし、乙は、これらの資料を養育費の算定および見直しの目的以外には使用しないものとする。」
このように、合意書の中で「何を収入とみなすか」「どの資料をいつ出すか」「嘘があったときどうするか」を具体的に書いておくことで、副業収入の隠し事をされにくくし、後からでも対応しやすくなります。
文言を入れても、書き方があいまいだったり、実際に資料を出してもらえなかったりするとトラブルになりがちです。
よくあるトラブルとして、次のようなケースがあります。
・「給与収入」とだけ書いていて、副業収入は対象外だと主張される
→「給与」だけを基準にしてしまい、ウーバー配達やネット販売などの副業収入を「関係ない」と言われてしまうケースがあります。「名目を問わずすべての収入」と広く書いておくことが大切です。
・資料提出の頻度や種類が決まっておらず、相手が出してくれない
→「必要に応じて開示する」などあいまいな書き方だと、「今は必要ない」「忙しい」と言われて先延ばしにされがちです。「毎年1回」「源泉徴収票と確定申告書」など、具体的に決めておくと要求しやすくなります。
・副業収入が後から発覚しても、過去分をどうするか書いていない
→「今後は増額する」で終わってしまい、隠されていた期間の不足分を請求できるかでもめることがあります。「過去にさかのぼって不足分を請求できる」と明記しておくと、交渉の材料になります。
・相手が「会社に副業がバレるから資料は出せない」と拒否する
→合意書に資料提出義務があっても、実際には出してもらえないことがあります。会社に直接問い合わせることは原則できないため、家庭裁判所の手続きで資料提出を求めることになる場合もあります。
・口約束だけで決めてしまい、後から「そんな約束はしていない」と言われる
→文言が合意書に残っていないと、証拠がなく主張しづらくなります。特に副業収入のように証拠をつかみにくいものほど、書面での取り決めが重要です。
相手の副業収入が気になるときは、「疑っている」と感情的にぶつけるよりも、「子どもの生活のために、収入全体をきちんと把握したい」という伝え方を意識すると、話し合いがしやすくなります。
合意書を作るときは、次の点を意識してください。
1. 収入の定義を広く書く
給与だけでなく、副業・事業・投資なども含めた「すべての収入」を対象にする文言を入れる。
2. 資料提出のルールを具体的に決める
「毎年いつ」「どの書類(源泉徴収票、確定申告書、給与明細など)」を出すのか、はっきり書く。
3. 虚偽や未申告があった場合の扱いを決める
隠していた収入が後から分かったときに、「過去にさかのぼって増額・不足分請求ができる」ことを条項にしておく。
4. 将来の見直し方法も書いておく
収入が増えたときの協議・家庭裁判所への申立ての可能性を、あらかじめ合意書に入れておく。
文言の細かい表現は、ひな形を参考にしつつ、自分の状況に合うように調整することが大切です。不安が強い場合や金額が大きい場合は、自治体の法律相談や法テラスなどの無料・低額の相談窓口を利用し、合意書の内容を一度チェックしてもらうと安心です。
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