財産分与について教えてください。
財産分与の対象になる資産と対象外の資産の違いは?
結婚してから夫婦が協力して増やした「共有の財産」は財産分与の対象ですが、結婚前から持っていた財産や相続・贈与で個人的にもらった財産などは、原則として対象外です。ポイントは「夫婦の協力で築いたかどうか」です。
財産分与の対象かどうかは、名義ではなく「夫婦で築いたかどうか」で判断されます。
財産分与とは、離婚のときに夫婦が築いた財産を公平に分ける仕組みです。ここでいう「夫婦が築いた財産」を法律では「共有財産」と呼び、これが財産分与の対象になります。
■財産分与の対象になる主なもの(共有財産)
– 結婚後に貯めた預貯金(夫名義・妻名義どちらでも)
– 結婚後に購入した自宅や土地、マンション
– 結婚後に加入した生命保険の解約返戻金や積立部分
– 結婚後に貯めた株式・投資信託・仮想通貨などの金融資産
– 退職金(離婚時点で既に支給済み、または近い将来支給が見込まれる部分)
– 会社の持株会や社内預金など、勤務先を通じて積み立てた資産
– 事業をしている場合の、結婚後に増えた事業用資産の一部
名義がどちらか一方でも、実質的に夫婦の生活費や貯蓄から作られたものは、基本的に共有財産とみなされます。
■財産分与の対象外になる主なもの(特有財産)
– 結婚前から持っていた預貯金・不動産・株など
– 親や親族から相続した財産(現金・不動産・株など)
– 親から自分だけが贈与された財産(結婚祝いでも「あなた個人へ」とされたものなど)
– 結婚前から続けている個人の趣味のコレクションなど
– 慰謝料や交通事故の損害賠償金のうち、精神的苦痛への補償部分など「その人個人への補償」といえるもの
これらは「特有財産」と呼ばれ、原則として財産分与の対象には含まれません。
■判断のポイント
1. いつ取得したか
– 結婚前 → 原則として対象外
– 結婚後 → 原則として対象(共有財産)
2. どうやって取得したか
– 給料や事業収入など、夫婦の生活費・貯蓄から → 対象になりやすい
– 相続・贈与など、片方だけが個人的にもらった → 原則対象外
3. 名義はあまり関係ない
– 「夫名義の口座だから夫のもの」「妻名義の家だから妻のもの」とは限らず、実際にどのような資金で取得したかが重視されます。
■混ざってしまった場合
相続で受け取ったお金を、夫婦の生活費や共同の貯金口座に入れてしまった場合など、「特有財産」と「共有財産」が混ざってしまうことがあります。この場合、どこまでが個人の財産かを証明できるかどうかで、扱いが変わることがあります。
財産の種類ごとに、対象かどうかが分かれやすいポイントがあります。
■よくある勘違い・トラブル例
1. 「名義が自分だから全部自分のもの」と思い込む
– 夫名義の預金でも、結婚後の給料から貯めた分は妻にも分ける権利があります。
– 逆に、妻名義の貯金でも、結婚後に夫の収入を預けていた場合は共有財産とみなされます。
2. 結婚前の貯金と結婚後の貯金が同じ口座にある
– 通帳の履歴をさかのぼって、結婚前の残高と結婚後に増えた分を分けて考える必要があります。
– 証拠がないと「全部共有財産」と扱われるリスクもあります。
3. 親からの援助で買ったマイホーム
– 「親からの援助=自分の特有財産」と主張したい場合は、贈与契約書や振込記録などが重要です。
– 親が夫婦二人に対して援助したとみなされると、家全体が共有財産と扱われることもあります。
4. 退職金の扱い
– すでに受け取っている退職金は、結婚期間に対応する部分が共有財産とされることがあります。
– まだ受け取っていない退職金も、近い将来の支給がほぼ確実な場合は、財産分与の対象に含めるかが争いになりやすいポイントです。
5. 相続財産を生活費に使ってしまった
– 相続で受け取ったお金を生活費に回してしまうと、その分は事実上、夫婦の生活を支えるために使われたとみなされ、財産分与で取り戻すのが難しくなることがあります。
6. 保険や投資商品の「中身」が見落とされる
– 学資保険や積立保険、投資信託などは、名義人だけで判断せず、解約返戻金や評価額を調べて共有財産として計算する必要があります。
こうした点を整理せずに話し合いを進めると、「後から知って損をした」「本当は分けられたのに諦めてしまった」といったトラブルにつながりやすくなります。
財産分与で損をしないためには、「何が共有財産で、何が特有財産か」をできるだけ客観的な資料で整理することが大切です。
■まず自分でやっておきたいこと
– 通帳・ネットバンクの明細を印刷・保存する(少なくとも数年分)
– 給与明細・源泉徴収票・確定申告書など収入の資料をそろえる
– 不動産の登記事項証明書・固定資産税の通知書を確認する
– 生命保険・学資保険・積立保険の契約内容と解約返戻金を確認する
– 株・投資信託・仮想通貨などの残高証明や取引履歴を保存する
– 相続や贈与で受け取った財産について、当時の書類や振込記録を探しておく
■話し合いのときのポイント
– 「名義」ではなく「いつ・どんなお金で取得したか」を基準に話す
– 感情的になりすぎず、一覧表にして冷静に整理する
– 分からないものは無理に決めず、いったん保留にして調べる
■専門的な判断が必要な場合
退職金の扱い、事業用資産、相続財産と共有財産が混ざっているケースなどは、法律や税金の知識がないと判断が難しいことがあります。そのような場合は、法律の専門知識を持つ窓口や、公的な相談窓口などで早めに相談し、第三者の意見を聞きながら進めると安心です。
一人で抱え込まず、「どの財産が対象になるのか」「どのくらいが目安なのか」を早めに確認し、証拠となる資料をきちんと集めておくことが、納得のいく財産分与につながります。
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