相続人同士で遺産分割協議がまとまらない場合の解決方法は？

相続人同士で遺産分割協議がまとまらない場合の解決方法は？

ズバッと回答

• 詳しく解説
• ケース別の注意点
• 相談先の選び方
• 無料相談

詳しく解説

遺産分割協議は、相続人全員の合意がないと成立しません。1人でも反対したり、連絡が取れなかったりすると、協議書が作れず、名義変更や預貯金の解約も進まなくなります。

話し合いでまとまらない場合の主な解決手段は次のとおりです。

1. 第三者を交えた再協議
・親族以外の第三者（専門家や信頼できる知人）に同席してもらい、感情的な対立をやわらげる
・財産の一覧表（不動産、預貯金、株式、保険など）と、相続人の希望を整理して、冷静に話し合う
・「誰がどれだけもらうか」だけでなく、「誰が何を引き継ぐと今後困らないか」という視点も入れる

2. 家庭裁判所への「遺産分割調停」の申立て
・話し合いが難しい、または完全に決裂している場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てます
・調停では、裁判所の調停委員（中立の第三者）が間に入り、相続人の意見を聞きながら合意点を探ります
・調停で合意できれば、その内容に沿って遺産分割が行われます

3. 調停でもまとまらない場合の「審判」
・調停で合意に至らない場合、家庭裁判所が「審判」で分け方を決めます
・審判では、法律上の相続分や、被相続人（亡くなった方）への貢献度、これまでの援助の有無などを総合的に考慮して判断されます
・審判の内容には、原則として従う必要があります

4. 協議・調停・審判の前にやっておきたいこと
・相続人の範囲を戸籍で確認する
・遺言書の有無を確認する（公正証書遺言、法務局保管制度、自筆証書遺言など）
・遺産の全体像を把握する（不動産の登記事項証明書、預金残高証明、保険証券、借金の有無など）
・誰が何を希望しているか、譲れる点・譲れない点を整理しておく

このように、話し合いが難しい場合でも、家庭裁判所の制度を利用することで、最終的な解決に進むことができます。

ケース別の注意点

よくあるトラブルや注意点として、次のようなものがあります。

1. 感情的な対立で話し合いが完全にストップ
・「昔からの不満」「介護の負担」「生前贈与の有無」などが持ち出され、話が本題からそれてしまう
・一度こじれると、連絡すら取りづらくなり、協議が進まない

2. 一部の相続人だけで勝手に決めてしまう
・相続人のうち数人だけで協議書を作り、他の相続人に事後報告するケース
・相続人全員の合意がない協議書は無効となり、後からやり直しになるおそれがある

3. 不動産の共有で将来さらに揉める
・「とりあえず兄弟全員で共有名義にしておこう」と決めてしまう
・その後、売却や建て替えの際に全員の同意が必要となり、次の世代までトラブルが持ち越されることがある

4. 相続税や固定資産税の負担を考えていない
・不動産を引き継いだものの、税金や維持費が払えず困るケース
・現金が少ない相続では、税金の支払い方法も含めて分け方を考える必要がある

5. 時間が経つほど手続きが複雑になる
・相続人の誰かが亡くなり、さらに相続人が増えてしまう「数次相続」が起きる
・連絡先が分からない相続人が出てきて、調整が一層難しくなる

これらを避けるためにも、「なんとなく放置する」「感情的な話し合いを続ける」より、早めに手続きの整理と第三者の関与を検討することが重要です。

相談先の選び方

相続人同士で話し合いがまとまらないと感じたら、「自分たちだけで何とかしよう」と抱え込まず、早めに整理と相談を進めるのがおすすめです。

行動のステップとしては、
1. 相続人と遺産の全体像を紙に書き出す
2. 遺言書の有無を確認する
3. 相続人それぞれの希望と、譲れる点・譲れない点を整理する
4. 感情的になりやすい場合は、第三者に同席してもらい再度話し合う
5. それでも難しい場合は、家庭裁判所への遺産分割調停を検討する

家庭裁判所の手続きは、自分で申し立てることも可能ですし、書式や流れについては、裁判所の窓口や公的な相談窓口で案内を受けることもできます。

「時間が解決するだろう」と放置すると、かえって問題が大きくなることが多い分野です。早めに情報を集め、必要に応じて専門知識のある人や公的な相談窓口を活用しながら、冷静に手続きを進めていきましょう。

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