相談者より
DVについて教えてください。
加害者が子どもに会わせろと言う場合、法的手続きに使える証拠は何ですか?
加害者から「子どもに会わせろ」と迫られたときは、その言動がわかるメッセージや録音、接近の状況がわかる記録(日時・場所・回数など)が証拠になります。暴力や脅しがある場合は、その内容がわかる資料をできるだけ残しておくことが重要です。
証拠として大事なのは「誰が・いつ・どこで・何を言った(した)か」が客観的にわかるものです。
DV加害者から「子どもに会わせろ」と要求されている状況では、将来、面会交流(子どもと会うこと)や接近禁止などの手続きで、裁判所に事情を説明する必要が出てくることがあります。そのときに役立つのが、日常のやり取りを残した証拠です。
主に次のようなものが証拠として使われます。
1. メッセージ・やり取りの記録
– LINE・SMS・メール・SNSのDMなど
– 「子どもに会わせろ」「会わせないならどうなるかわかってるよな」などの文言
– 暴言・脅し・しつこい連絡の回数や時間帯
– 子どもをダシにした支配的な言い方(「子どもを連れて帰る」「親権を奪う」など)
– スクリーンショットを撮るだけでなく、できればトーク履歴のバックアップやエクスポートもしておくと安心です。
2. 通話・対面での会話の録音
– 電話や対面で「会わせろ」「連れてこい」と強く迫られたときの録音
– 暴言や脅しを交えた要求の録音
– 子どもの前で怒鳴る・脅す様子がわかる音声
※録音は、あなた自身が会話の当事者であれば、相手に知らせずに録音しても違法とはされないのが一般的です(ただし、録音目的で危険な接触をしに行く必要はありません)。
3. 接近やつきまといの状況がわかるもの
– 自宅や学校、職場などに押しかけてきたときの
– 防犯カメラ映像やインターホンの録画
– 写真・動画(車のナンバー、時間がわかるもの)
– 「何月何日・何時ごろ・どこで・どのくらいの時間いたか」をメモした記録
– 近所の人や学校関係者が見ていた場合、その人のメモや証言メモ
4. 暴力・脅しがある場合の証拠
– けがの写真、診断書(過去のDVも含む)
– 警察に相談したときの相談受理番号やメモ
– 相談窓口(配偶者暴力相談支援センター、市区町村の相談窓口など)に相談した記録
– シェルターや一時保護の利用記録
5. 子どもの様子に関する記録
– 子どもが「会いたくない」「怖い」と話した内容のメモ(日付入り)
– 子どもの行動の変化(夜泣き、登校しぶり、体調不良など)を日記のように記録
– 学校や保育園・幼稚園での様子について、先生から聞いた話のメモ
6. 裁判所や行政とのやり取り
– すでに保護命令や面会交流の調停・審判などをしている場合の書類
– 行政の支援制度を利用したときの決定通知や相談記録
これらを組み合わせることで、「単に子どもに会いたいと言っているだけ」なのか、「子どもを口実に支配・脅し・つきまといを続けているのか」を、裁判所などに具体的に示すことができます。
証拠を集めるときも、あなたと子どもの安全が最優先です。
DVのある関係では、「証拠を取ろう」として無理に会いに行ったり、危険な場所に近づいたりすると、かえって危険が高まることがあります。次の点に注意してください。
1. 危険な接触を増やさない
– 録音や写真を撮るために、わざわざ相手に会いに行かない
– 夜間や人目の少ない場所での接触は避ける
– 子どもを連れて相手のところへ行って証拠を取ろうとしない
2. 証拠の保存方法に注意
– スマホやパソコンを相手に見られる可能性がある場合
– パスコード・指紋認証・顔認証を設定する
– クラウドや別の端末にバックアップを取る
– 相手が自由に触れる端末には証拠を残さない
– 証拠の写真や録音ファイルの名前に、日付や内容がわかるようにしておくと後で整理しやすくなります。
3. 子どもへの負担を減らす
– 子どもに無理に話をさせて録音するなど、子どもに「証拠集め」をさせない
– 子どもの前で、相手との激しいやり取りをしないよう可能な範囲で工夫する
– 子どもが話したことは、あなたがメモに残す形でも十分役に立つ場合があります。
4. 「会わせないこと」が一方的に不利になるとは限らない
– DVがある場合、「子どもの安全のために会わせていない」という事情は、裁判所でも重く見られます。
– ただし、何も記録がないと「単に会わせないだけ」と誤解されるおそれがあるため、日々の状況をメモや相談記録として残しておくことが大切です。
5. 相手に知られない形での相談
– 証拠の整理や、どの程度そろっていればよいかは、個別の事情によって変わります。
– 相手に知られないように、電話やオンライン、窓口など安全な方法で相談できる機関を選びましょう。
まずは、今あるものを「証拠になりそうかどうか」を気にしすぎず、そのまま残すことが大切です。メッセージ、録音、写真、日付入りのメモなど、「いつ・どこで・何があったか」がわかるものは、後から整理して役立てることができます。
行動の目安としては、次のようなステップが考えられます。
1. 安全を確保する
– 危険を感じる場合は、ためらわず110番通報や、近くの交番・警察署への相談を検討する
– 夜間や人目の少ない場所での接触を避ける
– 可能であれば、家族や友人に状況を共有し、緊急連絡先を決めておく
2. 手元にある証拠を整理・保管する
– LINEやメールは削除せず、スクリーンショットやバックアップを取る
– 通話や対面でのやり取りは、危険のない範囲で録音を検討する
– 接近やつきまといがあった日は、簡単でよいので日記のようにメモを残す
3. 公的な相談窓口を活用する
– 配偶者暴力相談支援センター、市区町村のDV相談窓口、女性相談窓口、子ども家庭支援センターなどに連絡し、
– 現在の状況
– 相手の言動(子どもに会わせろという要求の仕方)
– すでに持っている証拠
を伝えて、今後の対応や必要な手続きについてアドバイスを受ける
4. 裁判所の手続きが必要になりそうな場合
– 面会交流の調停や、接近禁止などの保護命令を検討する場面では、どの証拠をどう出すかが重要になります。
– 書類の書き方や証拠のまとめ方については、法律相談窓口や公的な無料相談などを利用し、あなたと子どもの安全を最優先にした方法を一緒に考えてもらいましょう。
一人で抱え込まず、「子どもの安全を守るためにどう動けばよいか」を一緒に考えてくれる相談先を見つけることが、結果的に一番の備えになります。
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