相続のことで何から始めればいいか分からないときはどうすればいい？

遺言書がない場合、相続分はどのように決まる？

ズバッと回答

詳しく解説

相続が発生したら、いきなり遺産分けの話をするのではなく、次の順番で進めると混乱を防ぎやすくなります。

1. 相続人を確認する
・戸籍を取り寄せて、法律上の相続人が誰かを確認します。
・配偶者、子ども、亡くなった子どもの代わりに相続する孫、父母・兄弟姉妹などが対象になります。

2. 財産と借金を洗い出す
・預貯金、不動産、株式、保険金などのプラスの財産だけでなく、ローンや借入金、未払いの税金などマイナスの財産も一覧にします。
・通帳、証券、契約書、請求書、郵便物などを整理して確認します。

3. 相続放棄や限定承認の検討（原則3か月以内）
・借金が多そうな場合や、財産の全体像が見えない場合は、「相続を受けるかどうか」を決める必要があります。
・家庭裁判所で行う「相続放棄」や「限定承認」は、原則として相続開始を知った日から3か月以内が期限です。

4. 遺言書の有無を確認する
・自宅の金庫、机の引き出し、銀行の貸金庫などを確認します。
・公正証書遺言がある場合は、公証役場で検索してもらうこともできます。
・遺言書があるかどうかで、遺産分けのルールが変わります。

5. 遺産分割の話し合い（遺産分割協議）
・相続人全員で、財産をどう分けるか話し合います。
・話し合いの結果は「遺産分割協議書」にまとめ、全員が署名・押印します。

6. 各種名義変更・解約などの手続き
・不動産の名義変更（相続登記）
・銀行口座の解約・名義変更
・株式・投資信託の名義変更
・保険金の請求
・年金や公共料金などの手続き

このように、「相続人の確認 → 財産と借金の把握 → 相続するかどうかの判断 → 遺言書の確認 → 遺産分割 → 名義変更」という流れを意識すると、何から手をつけるべきかが見えやすくなります。

ケース別の注意点

よくあるトラブルや注意点として、次のようなものがあります。

・借金を知らないまま相続してしまう
　後から多額の借金が見つかり、「知らなかった」では済まないケースがあります。相続放棄の期限（原則3か月）を過ぎると、原則として借金も含めて相続したことになります。

・「長男が全部もらうもの」と思い込んでいる
　昔のイメージで「長男が家と土地を全部継ぐ」と考えている人もいますが、現在は法律上、相続人ごとに決まった取り分があります。思い込みで話を進めると、後から不満や争いの原因になります。

・遺言書を勝手に開封してしまう
　封のある遺言書を勝手に開けると、手続きがややこしくなることがあります。本来は家庭裁判所で「検認」という手続きをする必要がある場合があります。

・話し合いがこじれて長期化する
　「感情的な対立」「情報を一部の人しか持っていない」「誰が仕切るか決まっていない」などで、話し合いが進まないことがあります。その間に税金や管理費などの支払いが滞ることもあります。

・不動産の名義変更を放置する
　相続登記（不動産の名義変更）を長年放置すると、相続人がどんどん増え、誰の同意が必要か分からなくなり、売却や建て替えが難しくなることがあります。法律上、相続登記に期限が設けられている場合もあるため注意が必要です。

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